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11回表1死三塁、本多選手は勝ち越し適時打を右前に放つ |
チームを照らす閃光(せんこう)のような打球が、一、二塁間を一直線に抜けていった。本多雄一選手が乱戦に決着をつけた。延長11回2死三塁。「緊張しました」。逃せない絶好機に思わず身を固くしたが、振り抜いたバットはヤクルト増渕投手のシンカーをとらえた。右前への勝ち越し打。夢中だった。三塁走者明石健志選手のホームインも「見ていなかった」。両手をたたき、目いっぱいに喜びを表した。
本多選手「感触はあまり良くなかったけど、安打が出て良かった。僕のエラーで点が入ってしまったので。」
借りを返したかった。2-1と1点リードの6回1死、ゴロの捕球ミスで飯原選手に出塁を許すと、続くガイエル選手の内野安打で三塁を狙った飯原選手を刺そうとして悪送球。2連続失策で同点を許してしまった。「エラーにはなってしまったけど、積極的なプレーだったと思っている」。後悔はなくても、胸の内には燃えるものがあった。同じ福岡・大野城市出身で鹿児島実高の先輩でもある杉内俊哉投手が、悔しさに身を震わせるのを見て「杉内さんが悔しい思いをしたので、チームとして勝ちたかった」と奮い立った。
足でもアシストした。8回無死一、二塁で打席には小久保裕紀選手。二塁走者の本多選手は大きくリードを取って押本投手に揺さぶりをかけた。「(盗塁を警戒させて)真っすぐを投げさせようとした」。主将のバットは直球をとらえて勝ち越し3ランを放った。2塁とV打。走攻にわたる活躍で、チームは交流戦初の連勝で2勝2敗の5割に戻した。失敗を取り返したからこそ、混戦をモノにできた。