かつてのチームメート阪神城島健司選手に強烈な3発の返礼だ。オーティズ選手、柴原洋選手、多村仁志選手がいずれも初球を本塁打するなど、打線が爆発。今交流戦最多の16安打9得点。前夜は城島選手の一打からまさかの逆転負けを喫したが、きっちりお返し。交流戦は3勝3敗の五分とし、“ジョー撃ち”で上昇気流に乗るきっかけをつかんだ。
16安打、9得点は、いずれも今交流戦で最多。セ・リーグ相手では、ここまで1試合平均2.4得点だった打線の湿りがウソのよう。秋山幸二監督の表情も晴れ渡った。「打線が頑張ったね」。中でも強烈だったのは3発のアーチ。共通点は「初球打ち」だ。
◆4回オーティズ選手14号ソロ(スコア0-0、無死走者なし) セ球団のこの2年間の攻め方を研究した結果、甘いゾーンに絞って打席に。前日まで6試合ノーアーチだったが、阪神上園投手の高めスライダーを左翼席へ。「だいぶ(配球が)分かってきた。ボール球を振らないようにした」。
◆4回柴原選手2号ソロ(スコア1-0、2死走者なし) 1打席目に初球の直球に詰まって二ゴロに倒れた反省を生かし、初球直球を右翼席へ。「ポイントを前に置いて、まっすぐだけ狙っていた」。
◆7回多村選手8号3ラン(スコア5-1、2死一、二塁) 直前まで3連打。押せ押せムードに乗って、阪神久保田投手のスライダーを左翼席へ。「積極的な打撃を心がけた」。
前夜は城島選手の一打から馬原投手-攝津投手の救援コンビが崩れ、逆転負け。だが、今やライバルとなった男に、花を持たせっぱなしとはいかない。ジョーに返礼の初球弾3発を見せつけた。
城島選手を知る強みもある。2回表の守備。城島選手の一打は左翼線に。フェンスまで到達した打球を、レフト柴原選手が素早く処理。二塁を狙った城島選手をアウトにしてみせた。「城島の足なんでね。他の選手だったらセーフですが」。柴原にとっては、ダイエー時代に3度のリーグ優勝を分かち合った仲間。積極的な城島選手の性格を知り尽くしているからこそのビッグプレーだ。昨年37試合出場。体重を絞り上げ、97年入団時と同じ74km/h。主戦場ではなかった左翼挑戦も、出場機会を増やすため受け入れた。虎視眈々(こしたんたん)と“返り咲き”への準備が生きた瞬間でもある。今季初の3安打猛打賞。この2試合で5安打。本拠で2年ぶりお立ち台と、光り輝いた。
交流戦勝敗を3勝3敗の五分に戻すだけでなく、登板過多「SBM」にも休息を与える大きな白星。城島人気もあって、今季初めて連日の観衆3万5000人超。それでも、やはり、ヤフードームは、鷹の本拠だ。