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11回裏1死一、二塁、左越えにサヨナラ安打を放ちナインと抱き合って喜ぶオーティズ選手。右は小久保選手 |
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サヨナラ打を放ち、マリーアン夫人(中)らと抱き合って喜ぶオーティズ選手 |
今季4度目のサヨナラ勝ちで、再浮上のきっかけをつかんだ。延長11回、オーティズ選手が自身2度目のサヨナラ打となるフェンス直撃の左越え安打。首痛による影響で離脱していた主将小久保裕紀選手の復帰戦を最高の勝利で祝った。連敗を2で止め、連続カード負け越しも3でストップ。沈滞ムード一掃へ、11日、7月初連勝に挑む。
オーティズ選手の一打が、最高のエンディングをもたらした。延長11回裏1死一、二塁。3ボールになったところで直球1本に狙いを絞った。ロッテ薮田投手の直球が浮いた。思い切り踏み込んでとらえた打球は、左翼フェンスを直撃。一塁ベースを回ったところでナインの祝福を受けた。
オーティズ選手「球は高かったが、しっかり打てた。」
昨年5月8日以来となる自身2度目のサヨナラ打を満面の笑みで振り返った。多くの苦労に報いるV打だった。
先発和田毅投手の熱投を無駄にしなかった。オーティズ選手は9回裏2死二、三塁で投ゴロに倒れていた。9回3安打無失点の和田投手を勝利投手にできなかった。一塁側ベンチでヘルメットを投げつけるほど、珍しく怒りをあらわにした。
オーティズ選手「和田がいい投球をしていた。9回に打てなかったので何とかしようと思っていた。次に和田が投げたときは必ず打つ。」
主将の復帰祝いでもあった。小久保選手が戦列復帰し、5番一塁で先発した節目の一戦。チームとして負けるわけにはいかなかった。
オーティズ選手「キャプテンが帰ってきて、勝利で迎えられてよかった。」
親交の深い松中信彦選手の悔しさも背負って打った。延長10回に主砲松中選手は代打で登場。だが、2死一、二塁の好機で左飛に打ち取られていた。オーティズ選手は今月4日、松中選手の自宅で開催されたバーベキュー大会に他の外国人選手と参加。家族も招待され、子供らとスイカ割りを楽しんだ。そこには「ミギ、ミギ、ヒダリ!」と、子供のように目を輝かせるオーティズ選手がいた。愛する家族を楽しませてくれた主砲のはからいに胸を熱くした男が、敵討ちを誓わないはずがなかった。
4番多村仁志選手は左ひざ痛をおして強行出場。松中選手とともに控えに回ったペタジーニ選手は出番こそなかったが、腐ることなく試合終盤に準備を整えていた。攝津正投手とファルケンボーグ投手も先発和田投手の好投を引き継いだ。背番号49の一打が、多くの選手の勝利への思いを紡いだ。
連敗は止まった。カード負け越しも止まった。秋山幸二監督は言った。「よかったあ。オーティズが最後は3ボールから積極的に行ったね。明日、頑張ろう」。今日11日の先発はプロ未勝利の岩崎翔投手。オーティズ選手や帰ってきた主将小久保選手ら一丸となったナインが、バックにいる。