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行きの航空機を待つ間、報道陣の質問に応じる小久保選手 |
優勝する時には、こんなことも起こるのか。前日1日のロッテ戦で球団初となる5点差の逆転勝利。Vの予感をヒシヒシと感じさせる今のホークスで、チームを引っ張り続ける小久保裕紀選手に、奇跡的な吉兆が降り注いだ。
旭川行きの航空機を待つ羽田空港の搭乗口で、小久保選手がいつも以上の笑顔を見せた。大逆転劇での3連勝だけが、顔がほころぶ要因ではない。1日にゴルフ男子ツアーのサン・クロレラクラシックで、星林高野球部の後輩である高山選手が5年ぶりのツアー優勝を飾った。6歳違いで高校では一緒にプレーはしていないが、親交のある後輩に祝福メールを送ったという。
すると、奇跡のような展開が…。なんと高山選手が今週プレーするのは、今日から日本ハム戦を戦う旭川。さらに高山選手の宿舎を確認したところ、旭川市内のホークスの宿舎と同宿だった。
小久保選手「こんなことはないからね。これはメシいかなあかんやろ」
小久保選手はあまりの偶然に笑った。2日夜は当初3人で食事に出かける予定を立てていたが、急きょ高山グループ5人を追加した計8人でセッティング。即興の優勝祝賀会を開いた。
競技は違えどかわいい後輩に〝復活Vパワー〟を注入してもらった。7年ぶりリーグ優勝に向かい、今日3日の日本ハム戦から首位独走態勢に入りたいところ。後半戦6試合で5勝1敗の勢いを、神様が導いたとしか思えないげんのいい高山選手との再会が後押しする。
残り43試合。まずはCS進出を確定させたいところだが「CSマジックなんかどうでもええ。マジックと言えば優勝マジックやろ。あのマジックが減るときの快感は何とも言えんのよ」。99年のダイエー初優勝も経験している現役最年長の主将として、ナインに優勝の快感を味合わせたいという思いを持っている。
絶妙の手綱で、その歓喜をつかみにいく。試合中も、ピンチを迎えた味方投手のもとの何度となく足を運び叱咤(しった)激励するのが小久保スタイル。ベンチで声の出ていない若手をしかることもある。一方でこの日予定していたウエートトレーニングは体と相談して取りやめた。すべては7年ぶりVの歓喜を味わうため。思わぬ吉兆でVエキスを吸い込んだ小久保選手が、7年ぶりの栄冠を導く。