チャンスは、巡ってきた。「眠れる大砲」李ボム浩選手が、帰ってきた。負傷離脱したオーティズ選手に代わり、この日午後、2軍遠征先の名古屋から、東京のチーム宿舎に移動。「1軍に戻ってこれたことは素直にうれしい。個人的に頑張ることはもちろん、大事な時期なので少しでもチームに貢献できるようにしたい」。外国人枠の問題もあり2軍暮らしを強いられていた男のコメントに並々ならぬ闘志がにじんだ。
自身のためにも、母国のためにも、このままで終わるわけにはいかない。韓国プロ野球通算160発、09年WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)ベストナインの肩書を引っ提げ入団。だが、春季キャンプで松田宣浩選手との正三塁手争いに敗れた。開幕から主に指名打者として27試合にスタメン出場したが、打率2割1分8厘、2本塁打。新加入したペタジーニ選手にはじき出される形で、5月28日からは2軍生活となった。プライドはズタズタに切り裂かれた。
だが、腐らなかった。心を支えていたのは韓国時代の同僚であるロッテ金泰均選手の活躍。自分にもできないはずはない-。金泰均選手が遠征で福岡を訪れた際には、積極的に食事に誘った。電話で、日本人投手の傾向などの助言を求めたこともあった。日差しの照りつける雁の巣球場で真摯(しんし)にバットを振り込み、ウエスタン・リーグ出場34試合で打率2割8分1厘、9本塁打。「ファームでいろいろ取り組んで結果も出てきている」と、もう不安などない。
秋山幸二監督も「ボムちゃんは(2軍で)結果が出てるからな」と、オーティズ選手の代役として遜色(そんしょく)がないことを強調した。復帰初戦となる6日の西武戦では代打での起用が濃厚だが、三塁でのスタメン出場の可能性も十分にある。相手先発は涌井。5月7日の対戦で9回無死まで無安打投球を続けられる中、意地の左越え二塁打を放ち屈辱を阻止したのが李ボム浩選手だった。今回も必ず、チームの窮地を救ってくれるはずだ。
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(提供:日刊スポーツ新聞西日本)
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