2010/08/12 (木)

小久保選手、西武追撃への先陣役となる

4回裏無死二、三塁、ペタジーニの適時二塁打で生還した二塁走者の多村を笑顔で迎える三塁走者の小久保選手
4回裏無死二、三塁、ペタジーニの適時二塁打で生還した二塁走者の多村選手を笑顔で迎える三塁走者の小久保選手
1回裏2死二塁、近藤から右前に先制適時打を放つ小久保選手
1回裏2死二塁、近藤から右前に先制適時打を放つ小久保選手
小久保裕紀選手が、天敵撃ちだ。自身もチームも苦手とするオリックス近藤投手から初回に千金先制打。4回には4連打に貢献し、近藤KO劇の主役を張った。主将にけん引された打線は、連敗中1度も越えられなかった「4点の壁」を突破する13安打7得点の爆発。背番号9が西武追撃への先陣役となる。

形はどうでもよかった。。小久保選手が笑った。「いやあ、必死やったわ。相性よくなかったし(近藤がヤフー)ドーム大好きって公言してたし。バットに当てる。それだけやったわ」。持ち味の豪快スイングではなかった。外角いっぱいの直球を、コツンとはじき返した。だが、大事なのはオリックス近藤投手の出ばなをくじき、先発和田毅投手に先制点をプレゼントしたこと。1回2死二塁での右前適時打は、軽く振った一打。が、打線爆発の扉を開く、大きな意味を持つ一打に間違いなかった。

チームは前回対戦こそ土をつけたが、近藤投手にはこれまで19試合の対決で5勝12敗と苦しんでいた。小久保自身、11打数1安打(打率0割9分1厘)とやられていた。プロ17年目のベテランの意地とプライドを込めた千金打を、秋山幸二監督も「初回に技術を見せてくれた」とたたえた。4回には4連打を紡ぐ左前安打。天敵右腕を4回途中に引きずりおろす立役者となった。

特別な試合でもあった。この日球場に04年7月に亡くなった高畠導宏さん(享年60)の親族が来場した。小久保選手は「奥さんが来ているよ」と意識していた。高畠さんは南海、ロッテ、ダイエーなどでコーチを歴任し、小久保選手がホークス入団時に師事した恩師。モチベーションは最高潮に高まっていた。

多くの人に支えられ、ここまでプロ人生を歩んできた。その経験を後輩たちに惜しみなく伝える。ベンチに退いた終盤には今宮健太選手、福田秀平選手を横に呼んで、オリックスの8回の攻撃を参考にしながら走塁のポイントを説いた。主将を務め、後輩に助言を送り続けるからこそ、背番号9が打てば、打線はつながる。13安打7得点で6連敗中全試合4点に終わった「4点の壁」にもピリオドを打った。

月に1度の血液検査を受け、乳酸値測定するなど体調管理に誰より気をつかう。それでも、前日はフリー打撃を途中で切り上げるなど、決して万全ではない。そんな体でも、1回にアウト覚悟で盗塁を試みた。理由は「多村も近藤と相性がよくなかった。ヒットがなかったのを知っていたので、追い込まれた時点で、アウトになっても、もう一度リセットして多村が打席に立てる」。自分を犠牲にできるスピリットに、勝利の女神はほほえんだ。「勝つって難しいし、やっぱり気分いいな」。10日ぶりの白星とともに、背番号9に笑顔が戻った。
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(提供:日刊スポーツ新聞西日本

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