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7回無失点で14勝目を挙げ、お立ち台で本多選手(左)と笑顔でガッツポーズする和田投手 |
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7回まで10奪三振の無失点投球で14勝目を挙げた和田投手 |
自らの「節目」を祝った。和田毅投手がリーグ単独トップに立つ自己最多タイの14勝目を挙げた。4回2死満塁のピンチをしのぐと、以降は1人の走者も許さず7回無失点。国内FA権を取得した日に10三振を奪う快投を見せた。チームの連敗を6でストップし、首位西武との差を1ゲームに縮めた。
クールな男が、気合をほとばしらせた。「ヨッシャッ!」。思わず叫ぶと、和田投手は小走りでベンチへと戻った。1点リードの4回2死満塁、元同僚の荒金への4球目。しならせた左腕から内角へ、胸元をえぐるような直球でバットに空を切らせた。空振り三振だ。この日最速の141km/hで最大のピンチを乗り切った。
和田投手「あの場面が一番、気合が入った。燃えましたね。絶対に連敗を止める気持ちでマウンドに上がっていたので。」
我慢の投球に終止符を打った。4回までは毎回の安打を許す苦しい投球。「序盤は良くなかった」。だからこそ、愚直に低めを突く本来のスタイルに徹した。5回以降の3イニングは1人の走者も許さず、自身10試合ぶりの2ケタ奪三振となる10Kをマークした。
ラストスパートへ、自らに“ムチ”を振るっていた。前回4日の日本ハム戦は旭川のマウンドにも苦しみ、自己ワーストの4被弾で6失点。試合後に1つの決意を固めた。今季中の禁酒だ。「旭川から始まった連敗は自分の責任。何か1つやめなきゃと思って。ビールには申し訳ないけど…」。毎晩の楽しみを封印してまで、7年ぶりの優勝のために身をささげることを決めた。
チームの連敗も6で止めた。首位西武とは1ゲーム差に接近。秋山幸二監督も「和田が粘りの投球をした。投手が踏ん張って、打つ方がつないでね。連敗が止まってよかった」と目を細めた。ホールトン投手が登録を抹消され、先発陣から右腕がいなくなった異常事態の中で、和田投手の快投は際立った。
早くも03、06年の自己ベストに並ぶ14勝目を挙げた。「この時期に決めることができてよかった」と喜びを口にはしたが、目指すのはもっと上だ。記念の勝利球は、この日に53歳の誕生日を迎えた孫オーナーへ贈ることに決めた。「最後は優勝のウイニングボールをプレゼントしたい」。くしくも国内FA権を取得した節目の1日に、チームもファンも再確認したに違いない。ホークスにとって、背番号21の存在は不可欠だと。