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4回裏1死一塁、ペタジーニ選手は左越えに2点本塁打を放つ |
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4回裏1死一塁、ペタジーニ選手に左越え2点本塁打を浴びたダルビッシュ投手は驚いたような表情を見せる |
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2点本塁打を放ったペタジーニ選手はバギーに乗ってファンの元に向かう |
39歳の助っ人砲が「驚弾」でダル倒だ。ペタジーニ選手が、日本ハム・ダルビッシュ投手を感嘆させる決勝2ランを放った。4回に150km/h速球を粉砕し、左翼席へ今季8号。ペタ砲にけん引された打線は、対ダルで最多となる11安打を浴びせての快勝。主力選手の離脱が相次ぐ流れを断ち切り、首位西武追撃への号砲だ。
ジャストミートすれば、方向など関係なかった。ペタジーニ選手が分厚い胸を張った。「逆方向にも、何本も本塁打は打ってきた」。同点の4回。外角高めの150km/hの速球を打って出た。シュート回転しながら逃げる軌道でも、芯を逃さなかった。左翼席へ、決勝8号2ラン。球場がどよめくと同時に、ダルビッシュ投手がマウンド上で驚きの表情を浮かべる。39歳とは思えないパワーを見せつけた。
力だけでなく、研究も抜かりない。ダルビッシュ投手とはこの日が初対決。試合前、資料室で映像を見つめるペタジーニ選手がいた。「いろいろな球種を持っているから、絞るのが大変」。笑いながら振り返るが、アーチを求める貪欲(どんよく)は人一倍だ。球宴前に今季好調な多村仁志選手が使用する同一タイプのバットをメーカーに注文。だが、1カ月も経たないうちに新タイプのバットを発注。12日に手元にとどいたのは、グリップの形が多村選手仕様で、ミート部分がメジャー時代から使い続けてきた直径64mmの極太タイプ。わずかな違いにもこだわる姿勢があるからこそ、驚弾は生まれた。
チームを救った。オーティズ選手、松中信彦選手と主力選手のケガが相次ぐ中、存在感を浮き彫りにした。さらにこの日、7月7日の日本ハム戦以来、一塁守備についた。前夜は5時間3分の超ロングゲーム。DHに入った主将小久保裕紀選手は「今日は助かったわ。今までないくらい足に張りがあった。監督、ヘッドに『DHでいいか』と言われて『助かります』と言ったわ。明日から、また守れる」。試合前練習をシートノックのみに絞ったキャプテンも4回にペタジーニ選手の1発を呼び込む右前安打を放った。打線は対ダルビッシュ投手で最多となる11安打を浴びせた。嫌な流れも、疲れも、吹き飛ぶ快勝だ。
秋山幸二監督もペタ砲の打撃に上昇気流を感じ取った。「ペタジーニが反対方向にね。ああいうのが出始めるとね。(状態が)上がってきたんじゃないか」。首位西武と1.5ゲーム差は変わらなかったが、難敵右腕から挙げた白星は、追撃へのノロシとなるはずだ。