9回表2死、糸井選手を三振に仕留め、完封勝利を飾った杉内投手はガッツポーズを見せる

12三振を奪い日本ハム打線を完封した杉内投手

完封勝利を飾った杉内投手（左）は田上選手と満面の笑みでハイタッチ

杉内さん家へのお中元はハムがよろこばれそうですな～。杉内俊哉投手が2安打完封でリーグトップに並ぶ14勝目を挙げた。これで日本ハム戦では3試合連続のシャットアウトとファイターズキラー。5回無死満塁のピンチも3者連続三振でしのぎ、通算42度目の2ケタとなる12奪三振の完ぺき投球だ。エースの快投でホークスは3連勝、首位西武を猛追する。

グラブをたたいた左手を握りしめ、突き出し、杉内投手がほえた。この歓喜を表現するには、まだ足りない。何度も両腕を天に突き上げ、派手なガッツポーズを披露した。それほど会心の投球だった。

杉内投手「前回（7日西武戦は6回3失点）負けているので、何とか自分の力で勝ちをもぎ取ってやろうという気持ちだった。」

131球の快投は外角142km/h直球の見逃し三振で締めた。通算13度目のシャットアウトは楽天藪投手に並んで現役5位タイとなった。日本ハム戦では3試合連続となる完封。「珍しいよね。次は打たれるっしょ」とジョークも飛び出した。

打たれない秘密はマインドコントロールにある。登板前、無口になった杉内投手は自分に繰り返し言い聞かせたという。「今日、負けたら意味がない」。前日にダルビッシュ投手を打ち崩したチームの勢いがあり、投げ合う相手は今季初先発の榊原投手。勝利確率が高い状況で、あえて自身にプレッシャーをかけた。4回まで1人の走者も許さないパーフェクトな投球は、極限の集中力から生まれた。

ピンチになれば開き直る。2点リードの5回に無死満塁の窮地に立たされ、売り出し中の中田選手を迎えた。再びみずからを“洗脳”した。「2点は仕方ない」。覚悟を決めて左腕を振った。だから動揺なんてない。カウント2-1から宝刀チェンジアップで中田選手のバットに空を切らせると、続く鶴岡選手と金子選手も空振り三振。エースたるゆえんを、絶体絶命の局面で見せつけた。

杉内投手「低めに集めて『三振を狙ったろう』と思って投げた。5回を0点に抑えられたのが大きかった。」

秋山幸二監督からも「久々のナイスゲーム。杉内に尽きるね。気持ちが入っていた」と惜しみない賛辞を贈られた。3連勝で再び勢いに乗り始めた。自身も14勝目を挙げ、リーグトップの盟友和田毅投手に並んだ。

杉内投手「（和田の存在は）バリバリ意識してます。先に勝っちゃうから、負けないように、置いてかれないように。2人が勝ち続けるとチームもいい方向にいく。この時期はいつも失速するのを毎年経験してるからね。」

11日に51歳の誕生日を迎えた母真美子さんにも何よりのプレゼントとなった。チームにとっても「孝行息子」の左腕が狙うのは、7年ぶりの優勝。頂点に立った瞬間には、どんなガッツポーズが飛び出すのだろうか。