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3回表1死一、二塁、左中間に3点本塁打を放つ小久保選手 |
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1回表2死三塁、二塁手がはじく先制適時打を放つ小久保選手 |
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試合後、スタンドのファンにサインボールを投げ入れる小久保選手 |
自力優勝復活弾だ。小久保裕紀選手が、楽天18回戦で歴代単独16位に浮上する通算397号。逆転Vへの号砲を打ち上げた。自力V消滅の一夜明けで、優勝をあきらめない気持ちを込めての猛打ショー。西武が敗れたため、その差を2.5ゲームに詰めた。チームの連敗もストップ。首位追撃へ再発進だ。
小久保選手の逆転Vへの思いを込めた一撃だった。左足を上げ、右足にグッと体重をかけ、ボールを待った。直球が最も得意とする内角低めに入ってきた。豪快にすくい上げた瞬間、アーチを確信した。3回、試合の主導権を完全につかむ左中間への今季13号3ランだ。
小久保選手「ギリギリだったが手応えは完ぺきだった。」
実は疲労のたまった体にムチを入れ修正を終えていた。13試合ぶりの1発。夏場を迎え調子は下降した。さらに前カードは蒸し暑い西武ドーム。18日は「心拍数が上がりすぎる」と打撃練習を短縮。前夜は終盤3イニングで、かつて経験したことがないほど大量の汗が出たという。この日の朝には「昨日はおかしかったわ。今日はシートノックだけでいいくらい」と、こぼしていたが、試合前練習でやるべきことがあった。
フリー打撃ではスローボールをゆっくりスイングし、とらえることを繰り返した。普段はバント練習を数球こなした後、フルスイングか右打ちかのいずれか。「しっかり軸足(右足)に体重を乗せることを意識した」。その完成形をグラウンドで披露してみせた。
プロ17年目。状況に応じて打撃スタイルを変える。初回2死三塁では二塁適時内野安打で先制点を呼んだ。初球からバットを短く持ち「とにかくセンター方向を意識していた」。狙い通りの技の一打だった。計4打点。5回には右中間二塁打。猛打賞は5月3日以来、4打点以上も5月16日以来。三塁打が出ればサイクルの活躍だった。
チームの息を吹き返させるとともに、節目アーチもカウントダウンに入った。通算397号で山内一弘氏を抜き、単独16位に浮上。400本塁打へと、あと3本だ。「(首痛などから)復帰したとき8月中にできると思っていた。まだ可能性はある。気になる数字なので、早く達成したい」。今月中の大台突破へ、ねじを巻き直した。
自力優勝が復活した。ホークスが勝利の儀式となるハイタッチを行う直前、西武が敗れた。試合直後のヒーローインタビューでは、西武が勝ったと思い込んでいた。「西武も強い。西武のしっぽをつかまえられるように、これからもチームメートを信じてやっていきたい」。ただ仲間への信頼感だけは思い違うはずもない。試合後「今日は本多の足が生きたよ。初回に三塁に行ったのと、3回も2球ウエストさせて(松田を)四球だから」と、2番打者を持ち上げた。
「この1カ月で順位がドッと変わるかもしれない」。首位西武とは2.5ゲーム差。小久保選手が、パ・リーグを、これからもっと熱くする。