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2回表無死、中越えに先制本塁打を放つ小久保選手 |
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2回表無死、先制本塁打を放ちベンチの出迎えを受ける小久保選手 |
苦い思い出の歴史は、自らのバットで変えてみせる。小久保裕紀選手が、Kスタ宮城で2試合連続の豪快アーチだ。2回。カウント1-3からの楽天長谷部投手の144km/h直球を仕留めた。「当たりはよかったけど、正直入るとは思わなかった」。先制の14号ソロをバックスクリーン左に運び去った。
今季Kスタ宮城で打ちまくっている。前日まで7度猛打賞のうち、3度を仙台で記録。試合前の時点で26打数13安打で打率5割。開幕から11試合目で飛び出した今季1号(4月3日)も同球場。神経の伝達障害などからの復帰初アーチも7月14日Kスタ宮城だった。
昨年まではビジター楽天戦で屈辱の試合を繰り返していた。王会長の監督最終戦となった08年10月7日、延長戦の末に敗れ去った。昨年10月17日には、クライマックスシリーズ敗退し、涙を流しながら球場を後にした。今年も「Kスタには、いい思い出がないわ。あそこは早く試合終わらせておいた方がいい」と語っていたほど。ただ、10年以上もイメージトレーニングを続けるスラッガーが、嫌な記憶のままにしているはずがなかった。
連弾へ準備に抜かりはなかった。この日、天候に恵まれた仙台地方の最高気温は、30度近くまで上がった。前日は曇り空に包まれ26度ほど。大粒の汗を流した練習中に「昨日までは風を吹かせる低気圧がきていたんや。今日からは違うんやで」。体調によって練習メニューを変更するなど細心の注意を払う男らしく、天候まで熟知していた。
Kスタを苦手とするエース左腕を強力援護する通算398号でもあった。先発杉内俊哉投手は06年4月2日の勝利を最後に、同球場5連敗(CS含む)。打線は同点とされた直後の4回に3点を勝ち越し。5回も3点奪った。杉内投手のハーラー単独トップ15勝目へ後押しした。