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7回途中まで無失点の力投で2勝目を挙げた陽投手 |
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9回表2死二塁、最終打者草野選手が左飛に倒れた瞬間、ベンチで大喜びする陽投手(左)と森福投手 |
もう代役とは言わせない!陽耀勲投手が3週間ぶりの先発で快投し、2勝目を挙げた。6回0/3を5安打無失点。外国人枠争いで厳しい状況に置かれながら、ホールトン投手の故障離脱で巡ってきたチャンスを生かした。快速左腕は過熱する優勝争いを勝ち抜く秘密兵器として期待がかかる。
早口で片言の日本語が、ヤフードームに響きわたった。「台風なんで、帰る時は気をつけて!」。声の主は台湾からやってきた陽投手だ。プロ2勝目は、本拠地ヤフードームでの初勝利。ヒーローインタビューでファンへの日本語のメッセージを求められ、赤井通訳と相談して決めた優しい言葉を投げかけた。
柔和な顔はマウンド上でも同じだった。1回先頭の聖沢選手に初球を右前へ運ばれ、いきなり走者を出した。だが、投球の合間に白い歯を見せるほどに余裕があった。
「笑ってるつもりはなかったけど、そういう表情なんですね。何も考えず平常心でいこうと思っただけ」。続く嶋選手を外角高め直球で空振り三振に仕留めると、鉄平選手も外角の直球で遊ゴロ併殺に打ち取った。
しなる左腕から放たれる剛球でねじ伏せた。2回にも先頭のルイーズ選手に二塁打を浴びたが、山崎選手と中村紀選手は空振り三振、牧田選手は右飛。いずれも直球で料理した。「真っすぐが決まっていた。欲しい場面で三振がとれた」。7回に無死一、二塁のピンチを招いて初完封の夢は持ち越しとなったが、堂々たる内容だった。
代役以上の輝きを放った。先発ローテ争いに加えて外国人枠の競争も強いられる厳しい立場。7月18日オリックス戦でプロ初勝利を挙げたが、右足内転筋痛から回復したホールトン投手の登板を優先し、19日には2軍行きを命じられた。初体験だったお立ち台でガムをかみながら話してしまい、球団から注意も受けた。
でも、めげない。「与えられたマウンドで首脳陣にいい印象を与えて、次のチャンスでやるだけ」。ホールトン投手の再離脱で巡ってきた先発機会を見事に生かした。
秋山幸二監督からも「期待以上の投球。ヤオシュンが先発の役割を果たしてくれたのが一番大きい」と絶賛された。次回先発はホールトン投手の回復状況にもよるが、また2軍で眠らせるのはもったいない。「続けて努力したい」。終盤戦の“台風の目”になってくれそうだ。