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3回裏1死一塁、多村選手は左中間に先制の2点本塁打を放つ |
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5回裏2死一塁、多村選手は中越えに2点本塁打を放つ |
王会長も大絶賛の2打席連発だ!多村仁志選手が、2打席連続アーチでチームに3連勝をもたらした。まずは3回の第2打席で、前日7日に続く2試合連続の24号先制2ラン。5回の第3打席でも中押しの25号2ランを放ち試合を決定づけた。07年5月18日以来の2打席連発で本塁打数はチームトップ、リーグ2位に浮上。昨季までのプロ15年間で優勝経験のないスラッガーが、悲願のリーグ優勝までチームを引っ張り続ける。
まるで、前夜のVTRだ。3回裏1死一塁。多村選手が、楽天永井投手の外角スライダーを左中間席にぶち込んだ。先制の24号2ランは、前日に放った23号先制3ランとほぼ同じ位置に着弾。「会心の当たりでしたね」。これまた前夜と同じく四球で出塁していた前打者の小久保裕紀選手が、ホームで出迎えると満面の笑みでハイタッチを交わした。
ただ、ここからが前夜と違った。続く5回2死一塁での第3打席。今度は永井投手の外角直球をバックスクリーン右へ運んだ。「逆らわずセンター方向に、という意識で打ちました」。移籍1年目だった07年5月18日の日本ハム戦以来の2打席連発で3連勝を決めた。
2打席連発という事象以上に、その内容が好調を示している。2日で3本塁打を目にした王会長は「見事だったね。軽く振ってる感じなのに、あれだけ飛ぶんだから」と大絶賛。前日の23号同様に、一見ミートしただけに見えるスイングに「何で同じ人間なのにあれだけ飛ぶんだ、というのが大事なんだ。コツをつかんだんじゃないかな」と力説。これを伝え聞いた多村選手は「自分ではまったく軽く振っているつもりはないんですけどね…」と、うれしそうに照れ笑いを浮かべた。
3年ぶりの2打席連発は、引退する先輩へのはなむけでもあった。横浜高で7学年上である広島高橋建投手が引退を表明。「いつも『ケガは大丈夫か』とか声をかけてくれていた。残念…」。横浜時代の04年には、その高橋建投手からのアーチを含む3打席連発をマークしたこともある。「(高橋建投手からのアーチは)バックスクリーンだった。バックスクリーンがなかったら、センターの場外にいってた」。この年は自己最多の40本塁打をマーク。06年から昨季までは4年連続で20本塁打にすら届かなかったが、5年ぶりのシーズン30本塁打も見えてきた。
7回の守りでは1死満塁のピンチで楽天草野選手の右中間の当たりを好捕。攻守で貢献し、首位西武とのゲーム差1.5をキープした。秋山幸二監督も「タムの2発は、昨日の本塁打といい完ぺきだったな」と王会長同様に大絶賛した。「優勝争いのプレッシャーはない。毎試合ベストパフォーマンスを発揮するだけ」と話す16年目のスラッガーが、まだ経験のない、優勝の瞬間までチームを引っ張り続ける。