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2回表無死2塁、打者オーティズ選手の時、盗塁を決める本多選手 |
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1回表2死一、三塁、ペタジーニ選手の適時打で生還した本多選手を笑顔で迎える秋山監督 |
ホークス打線がお目覚めだ。9月に入って貧打に苦しんでいた打線が、9安打9得点で投手陣をアシストして快勝だ。秋山幸二監督が初回にいきなり仕掛けた強攻策が実ってこの回10人攻撃の5得点。前夜のサヨナラ負けのショックを完全払拭(ふっしょく)して大勝の流れをつくった。逆転Vへ、ついに投打の歯車がかみ合った。
秋山監督が、いきなり訪れたチャンスに動いた。初回。先頭の川崎宗則選手が四球で出塁すると、2番本多雄一選手はバントの構え。初球だ。一塁走者の川崎選手がスタートを切ると、本多選手がバットを引いて外角球を流し打った。バスターエンドラン。三遊間を抜いた安打で、川崎選手が三塁到達。送球間に本多選手も二塁を陥れた。あっという間の早業で、流れをグッと呼び込むと、オーティズ選手の犠飛で先制。さらに、ロッテ渡辺俊投手の制球難と守備の乱れにつけ込み、この回5得点。勝負に出た賭けは、8月12日以来の1イニング5得点というビックイニングを演出した。
秋山監督は勝負を分けたシーンについて試合後「いろいろ動いていかないとな」としか話さなかった。だが、この1プレーにかける思いは特別だった。前夜はタイムリー失策による今季初のサヨナラ負け。9月に入って、打線は前日まで12試合で32得点(1試合平均1.9点)しかできていなかった。試合前にこぼしていた。
「最近さあ、ベンチの空気が重いんだよ。昨日もそうだったんだよ。試合途中からは盛り上がってくるところもあるけれど、硬いというか、重いんだよ」
流れを引き寄せる一手を思い巡らせていたに違いない。大石大二郎ヘッドコーチは「(初回のバスターエンドランは)積極的に点を取りに行こうということでしょう。沈滞ムードを一掃したかった? それが一番(の理由)でしょう」と証言した。
ただ、勝算のある賭けだった。2番本多選手は今季球団記録の47犠打を記録しているが、32個を1打席目にマーク。しかも、渡辺俊投手は川崎選手を四球で出しており、初球にストライクを取りに来ると読んでいた。価値ある一打を放った本多選手は「バントをやらせにきた球だった。(バントシフトで開く)一、二塁間と三遊間をイメージしていたし、バスターの練習はしていましたから」と、してやったりの表情だ。
勢いに乗った打線は2回以降も得点を重ね、9月最多の1試合9得点。今月初の2ケタ得点と、5日以来の2ケタ安打は持ち越しとなったが、秋山監督は「その辺はまた明日ね」。今日16日のロッテ戦と、18日からの西武3連戦で、逆転Vを呼ぶ打線爆発を狙っている。