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5回裏1死、松中選手は右越えに勝ち越しのソロ本塁打を放つ |
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5回裏1死、勝ち越しの右越えソロ本塁打を放ちベンチのナインと歓喜に沸く松中選手 |
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7回裏無死、松中選手は投安を放ち、一塁へヘッドスライディング。一塁手フェルナンデス選手 |
大逆転Vへの号砲だ!松中信彦選手が、豪快な1発で首位西武を撃破した。4-4の同点で迎えた5回裏。西武2番手の岸投手から、右翼席へ2試合連続となる11号勝ち越しソロを放った。本拠地での胴上げ阻止を決めるばかりか、西武とのゲーム差は1.5に急接近。苦しみ抜いたシーズンで、完全復活した主砲が奇跡を起こす。
決めたのは、やはりこの男だった。序盤3回までに、4本塁打が乱れ飛んだ天王山第2ラウンド。4-4の同点で迎えた5回裏。千両役者、松中選手が打席に入った。狙っていた。西武岸投手が投じた3球目。144km/hの内角直球を、豪快にはじき返した。打球は、大逆転Vを信じる右翼席のファンのもとへ一直線。18日に続く値千金の1発で、獅子を粉砕してみせた。
松中選手「(狙いは)真っすぐ1本だった。昨日、今日といい仕事ができた。」
これまでの不調を取り返すには、十分すぎる2試合連発だ。負け越せばV逸が決まっていた3連戦。18日にはエース涌井投手から同点3ランを放ったが、この日の1発はさらに価値があった。西武ベンチが5回からマウンドに送ったのは、岸投手。この日1軍復帰した右腕の中継ぎ起用は、Vへ向けたラストスパートへの秘策だった。
その出ばなを、豪快な1発でくじいた。チームは岸投手から4安打2得点。3番手以降の中継ぎ陣もめった打ちにし、16安打11得点の大勝を決めた。7回は投安で一塁へヘッドスライディングする気迫も見せ、一塁側ベンチを鼓舞した男は「西武に少しでもプレッシャーをかけて、僕らは勝ち続けるしかない」と語気を強めた。
腐らず、そして貪欲(どんよく)な姿勢で、完全復活につなげた。今季はここまでスタメンを外れることも多く出場は76試合。それでも「プロに入って(起用への不満などで)腐ってしまった選手を何人も見た。自分はここで終わるわけにはいかないと思った」。若手に交じっての早出特打は日課となった。大リーグ中継を食い入るように見て、レッドソックス松坂投手の投球フォームから打撃のヒントをつかんだこともあった。重要な局面での2試合連発で、完全復活をアピールした。
主砲の1発で、チームは本拠地での胴上げを阻止するばかりか首位西武に1.5ゲーム差と接近した。「信彦は、やっぱり集中力が高まってると思いますよ」と秋山幸二監督。最大のヤマ場で完全復活した主砲をたたえた。この日は恵子夫人と2人の息子が観戦。夫人のおなかにいる第3子は10月に誕生予定。家族5人で7年ぶりの歓喜を味わうため、完全復活した主砲は奇跡を信じて戦う。