2010/09/21 (火)

馬原投手、「魂の12球」で1点リードを死守

9回表2死一、三塁、中島選手を空振三振に仕留めた馬原投手はガッツポーズを見せる
9回表2死一、三塁、中島選手を空振三振に仕留めた馬原投手はガッツポーズを見せる
連勝を飾り、馬原投手(右)らナインを出迎える秋山監督
連勝を飾り、馬原投手(右)らナインを出迎える秋山監督
“史上最強投手陣”の守護神は、やっぱりこの男だ。馬原孝浩投手が「魂の12球」で1点のリードを死守した。9回2死一、三塁で、12球目まで粘られた西武中島選手をフォークで空振り三振に仕留めて試合終了。3失点で救援に失敗した18日の借りを返した。12三振を上積みしたチームは今季の奪三振数を1,220個として、日本記録(1,208個=05年阪神)を更新した。

右腕を突き出し、大きく口を開いて馬原投手がほえた。極限の緊迫感から解き放たれ、クールな守護神が感情を全身で表現した。「自然と出ました。1点差で、絶対に落とせない試合だったので」。9回2死一、三塁。粘る中島選手へフルカウントからの12球目。歯を食いしばって投じたフォークが、バットの数cm下をくぐり抜けた。ドームが割れそうな歓声とともに、奇跡の逆転Vへの扉が大きく開いた。

百戦錬磨の男でもほとんど味わったことのない、異様なムードだった。第1打席で2ランを放っている中島選手との死闘。追い込んでからのフォークを6度もファウルされた。背番号14が投球動作に入るたびに、3万5000人超の大観衆から声にならないどよめきが起こる。西武ファンが涙を流し、ホークスファンは手を合わせ祈った。この1球が、優勝の行方を決める-。真っ赤に染まったヤフードームはそんな思いに包まれた。

「あんな雰囲気は、05年のプレーオフ以来ですね」。脳裏によぎったのは5年前。リーグ優勝をかけ、ロッテと最終5戦目まで互いの意地をぶつけ合った。馬原投手は2戦目から4試合連続で登板して、最終戦の8回に決勝の逆転打を喫していた。

失敗を糧にできるからこそ、絶対的クローザーでいられる。18日には同じ中島選手に適時打を許すなど9回に3点を失い同点とされた。「カットボールを投げて打たれた」。この日はマウンドへ上がる直前、捕手の山崎勝己選手に「全力でいくから、強気でリードしてほしい」と伝えたという。投じたのは最速154km/hの直球と宝刀フォークだけ。打たれても、粘られても、自分の生命線とする2球種だけを信じ抜いた。

最後を締めた空振り三振で、今季のチーム奪三振数は1,220個となって日本記録を更新した。「それだけ(三振を)取れているというのは、チームにとっていいこと」。球史に残る大記録は、攻める投手陣の象徴でもある。ホークスが誇る守護神は「(中島選手を)歩かせることは頭になかった」と言い切った。7年ぶりの頂点に立つ瞬間、マウンドにはきっと、馬原投手の姿があるはずだ。
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(提供:日刊スポーツ新聞西日本

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