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6回裏2死満塁、代打オーティズ選手の2点適時打で歓喜の表情で生還する小久保選手(左)と多村選手 |
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6回裏2死満塁、オーティズ選手は逆転の中前2点適時打を放つ |
ホークスが奇跡の逆転Vへ、西武戦3連勝だ。3点ビハインドも何のその。秋山幸二監督の積極采配が的中し、大逆転勝利を飾った。6回に代打起用されたオーティズ選手が決勝タイムリー。天王山3連戦すべてで逆転勝利するミラクルを結実させた。優勝マジック4のままの首位西武に0.5ゲーム差と肉薄。23日にソフトバンク○、西武●で、ホークスにM2が点灯するところまで追い詰めた。
秋山監督の決断が奇跡の扉をこじあけた。6回、1点差に迫り、なおも、2死満塁。捕手田上秀則選手をベンチに下げ、代打オーティズ選手を告げた。初球だった。オーティズ選手が西武岡本篤投手の直球をジャストミート。中前への逆転2点適時打だ。背番号49は一塁ベース上で両手を人差し指を天に向けるオー様ポーズだ。
オーティズ選手「代打の準備はできていた。走者がいるときの方が自分を生かせる。集中力が増す。」
8月に右ひざ半月板損傷で約1ヶ月離脱しながら、チーム2位の81打点を稼ぐスラッガーが、勝負どころの大仕事に胸を張った。
指揮官の狙いが的中した。オーティズ選手は9月のスタメン出場が10試合。その間、37打数8安打4打点。本塁打は0で、打率2割1分6厘に低迷した。16日までの前カード(対ロッテ)千葉遠征中に、練習を見ながら秋山監督がつぶやいた。
秋山監督「オーティズが最近ホームラン打ってないんだよ。実戦感覚?いや、ホームラン打者はそういうのは関係ない。おかわり君(西武中村選手)だって、あまり(2軍戦で)出ていないのに結果を残せている」。
オーティズ選手は右ひざ負傷後に2軍戦出場なく、緊急昇格した。秋山監督は実戦から遠ざかったことが不振の原因とは見なかった。が、V争いには欠かせない。この西武3連戦で導き出した答えは、松中信彦選手を先発出場させ、オーティズ選手の代打起用。勝負強い打撃が売りのスラッガーに、燃える場面での打席を託した。試合後、秋山監督は「一打に対しての集中力があるからね」と、してやったりの表情だ。
直前には秋山マジックで好機を拡大していた。この回、先頭松中選手が死球で出塁。次打者小久保裕紀選手がフルカウントになったとき、一塁走者の松中選手にスタートを切らせた。三振ゲッツーのリスクもあった。だが、2球ファウル後にミラクルが起きた。小久保選手の二ゴロ処理を焦ったのか、セカンド原選手が失策。「監督の判断が的中した。オーソドックスな策ではないですが、誰が打者ですか?」と大石大二郎ヘッドコーチ。小久保選手は今季パ・リーグで2ケタアーチを放つ打者の中では、最も三振が少なく67。冷静な分析が、流れを呼び込むワンプレーの下地となっていた。
この3連戦すべて逆転での3連勝。西武のM4は変わらないが、0.5差と大接近。風邪をこじらせた秋山監督の体にはきつかっただろうが、達成感もあるに違いない。「あ~疲れたな。3試合ともしびれたね。厳しい展開でも、あきらめないのが出ている。あと、ホームゲームでファンの後押しも大きかった」。
球団は悲願Vに向け、この日までの3連戦同様、23日の本拠地最終戦(対ロッテ)でもファンにスタンドを赤に染める企画を急きょ決定。そのロッテ戦で勝ち、西武が同日楽天に負ければホークスにM2が点灯する。残り3試合。しっかりと奇跡のエンディングが見えてきた。