 |
6回表1死、打者サブロー選手のとき、左ももに違和感を訴える和田投手 |
逆転Vへのバトンをつないだ。和田毅投手がリーグトップに並ぶ17勝目を挙げる快投だ。6回に左太もも裏がつるアクシデントにも負けず、7回を5安打3失点。オリックス金子千投手との最多勝争いにも望みをつないだ。チームのためなら、26日の楽天との最終戦(Kスタ宮城)でブルペン待機も辞さない覚悟を示し、7年ぶりの優勝へ並々ならぬ決意を見せた。
痛みにも負けない。絶対に負けられない大一番で、和田投手が歯を食いしばった。6回1死からサブロー選手へ3球目を投げた直後、左太もも裏に異変を感じ、思わず左手で押さえた。それでも、顔をしかめたのは一瞬だけ。構わず次の1球を投じた。ケイレンは止まらない。屈伸運動を繰り返すうち、ようやく異変に気付いた高山郁夫投手コーチが駆け寄った。ベンチ裏で数分間の治療後、何事もなかったようにグラウンドへと戻った。
和田投手「ちょっとつった感じ。自分からタイムをかけるほどではなかった。大事をとるほどでもないし、流れを切りたくなかった」。
すでに勝利投手の権利は得ていたが、降板は頭になかった。再びマウンドへ上がると、サブロー選手と清田選手から連続三振をマーク。続く7回まで110球を投げ抜き、10奪三振をマークした。「(患部は)全然大丈夫です。次の回もいこうと思えばいけた」と涼しい顔で振り返った。
またも修正能力が光った。1回、3回と井口選手に連続本塁打を浴びて計3失点。打線の援護を受けながら、3回までに57球を要するなど序盤は苦しんだ。中盤以降は「スライダーが良くない」と判断して配球を変更。6回の3者連続三振は、いずれもチェンジアップで奪ったものだった。たとえ好調でなくても試合中に立て直せる。だからこそ、自己最多の白星を挙げられた。今季は先発26試合で17勝8敗。9回無失点で降板した7月10日ロッテ戦を除き、すべて自分の手で白黒をつけた。「責任のとれる投手になりたい」。まさに有言実行だった。
まだシーズンは終わっていない。「監督やコーチの判断だけど、優勝するための戦力として考えてくれれば、喜んで投げます」。中2日となる最終戦の26日楽天戦でのブルペン待機も辞さない覚悟だ。トップに並んだ最多勝争いも今は眼中にない。視線の先には、新人だった03年以来の頂点しか見えていない。