7年前を知る黄金の左腕コンビが頂点へと導いた。杉内俊哉投手、和田毅投手が2人で計33勝15敗をマーク。チームの貯金13を上回る大車輪の活躍を見せた。同い年の両左腕は互いの快投をモチベーションにして競うように白星を積み重ね、Vへの推進力になった。
「2人のエース」はともに3度ずつ、快感を分け合った。まずは杉内投手だ。小久保裕紀選手と川崎宗則選手の胴上げ後。秋山幸二監督の人さし指で直接の指名を受け、歓喜の輪から仙台の夜空へ打ち上げられた。ちょっぴり低めの舞いだったのは、ホークスの至宝にケガをさせないようとするチームの気づかいに違いなかった。前夜の男泣きから一変、童顔に満面の笑みが広がった。
杉内投手 「最高だよ。本当に良かった。このためにやってきたんだから。みんなで一緒にやってきてよかった。」
続いて和田投手だ。胴上げの大トリとして、無数の手に支えられて宙を舞った。こちらも“控えめ”に3回。端正な顔をくしゃくしゃにして喜びを爆発させた。
和田投手 「まさか僕が指名されるとは。やってもらえると思ってなかった。めちゃめちゃうれしかった。夢のようだった。」
2人の29歳左腕なくして、優勝はなかった。杉内投手が16勝7敗、和田投手が17勝8敗で合計33勝15敗。両左腕が積み上げた18の勝ち越しは、チームの貯金13をも上回った。主将の小久保選手も常々「杉内と和田が投げる試合は絶対に勝たなあかん」と口にしていた。Wエースが確実に勝つことで、チームを支えていった。
両者とも良きライバルとして競い合った。杉内投手が「バリバリ意識してた。ワッチが先に勝っちゃうから、負けないように、置いてかれないように」と言えば、和田投手も「今年はスギを中心として、僕が何とかついていけるように勝ってきた」と振り返った。同い年の2人が切磋琢磨すれば、自然とチームは乗っていけた。
2人のきずなを象徴する場面があった。前日25日の日本ハム戦後。誰もいなくなったベンチにわざわざ1人だけ残って、ヒーローインタビューで男泣きする杉内投手の姿を見つめる男がいた。和田投手だった。5試合ぶりに勝利した相棒の復活を自分のことのように喜んだ。背番号21は「2人が勝ち続けるとチームもいい方向にいく。僕らがチームの象徴だったと思う」と胸を張った。背番号47も「先発が駒不足と言われる中で、今年は僕とワッチが引っ張っていかなきゃならない存在だった」と充実感を漂わせた。2人は「7年前とは違う喜びがある」と口をそろえた。二人三脚の先にはきっと、日本一の頂点が待っている。