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アップ中、松中選手(右)にふざけて蹴りを入れる小久保選手 |
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ティー打撃で調整する小久保選手 |
主将、小久保裕紀選手が亡き先輩の命日に日本一を誓った。この日はダイエー時代の00年に間質性肺炎で亡くなった藤井将雄投手(享年31)の命日。「今年は(日本シリーズに出場し)勝ちましたの報告をしたい」と心境を語った。今日14日開幕のCSファイナルステージでは4番一塁としてチームをけん引するが、送りバントも辞さない自己犠牲の精神を貫くつもりだ。
小久保選手にとって最後の日本一は、背番号15を背負って投げた藤井投手との99年だ。藤井投手が直前で亡くなったONシリーズの00年は長嶋巨人の前に敗れた。ダイエーが日本一に輝いた03年は、自身の右ひざ負傷で1シーズン出場できなかった。今でも小久保選手の携帯には、藤井投手の電話番号が登録されている。この日は、決して忘れられない先輩の命日。思いの丈を言葉に変えた。
小久保選手「すべてが終わってから(墓前に)報告します。いつも、負けましたの報告なので、今年こそ(日本シリーズに出場して)勝ちましたの報告をしたい。」
今年の夏も、佐賀・唐津の墓前に足を運んだ。このオフに報告するのは、日本一の3文字だ。
藤井投手のように、すべての情熱をグラウンドに集約している。病魔に侵されながら藤井投手は投げ続けた。野球を愛し、チームへの自己犠牲をいとわなかった。チームの勝利を最優先する小久保選手のプレースタイルは、背番号15と重なる。この日、CSファイナルステージへの最終調整を終えた小久保選手は、フォア・ザ・チームの精神を強調した。
小久保選手「シーズン後半のように1つ負けたら終わりというトーナメントのつもり。つなぐ意識を持ってやる。右打ちでもバントでもやる。」
状況が許せば当然1発を狙うが、9月に自身3年ぶりの犠打を決めた主将だけに、次打者の5番多村仁志選手につなぐプレーを忘れることはない。もちろん、CS制覇への準備も整えた。チーム練習オフの前日12日はイメージトレと、体のメンテナンスに充てた。11日夜に宮崎から福岡まで5時間のバス移動で背中と腰に予想外の張りが出た。「腰と背中に16本のハリを打ってきたわ」。決戦の幕開けまで、できることはすべてやった自負がある。「試合が始まればボールだけを追う」。その先には、きっと、今年2度目の胴上げが待っている。