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5回裏1死二塁、左前に適時打を放つ川崎選手 |
川崎宗則選手が、意地の適時打で一矢を報いた。3点を追いかける5回裏。1死二塁からロッテ成瀬投手が投じた内角低めのボール球を、体を折り曲げるようにしてとらえ左前に運んだ。「ボール球だったけど、何とか1点返そうととにかく必死だった」。師と仰ぐイチロー(マリナーズ)選手をほうふつとさせる芸術的なバットさばきで、反撃ののろしを上げた。
人一倍、日本シリーズ進出へかける思いは強い。今季は11年目で初となる全試合出場、球団記録となる190安打を放ちチームをリーグ制覇に貢献。7年前の日本一の際は、レギュラーに定着したばかりの22歳。選手会長に就任した今季は、先頭に立ってチームを引っ張っている。7年前とは全く意味の違う日本一へ向けて、初回の第1打席でも左前打で出塁しチームを鼓舞した。
チームは10日から2日間、宮崎フェニックス・リーグで調整を行ったが、11日の試合後はチームを1人離れ鹿児島の実家へ戻った。例年レギュラーシーズンが終了すると、実家に戻り墓参りなどを行う。ただ今季は優勝が最終戦までもつれたことと、全試合出場の疲労も重なり帰省を控えていた。決戦を前に故郷で心と体をリセット。13日は全体練習後に居残り練習を行い、この日も全体練習開始の2時間以上前に球場入りしバットを振り込んでいた。「気持ちを切り替えて明日(15日)から」。川崎選手のバットが、今日こそチームを勝利に導く。