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脚立に乗り長身の南投手にマスコット人形をプレゼントする笹川スカウト |
ドラフト3位、浦和学院・南貴樹投手が、200cm&200勝の文字通りビッグな目標を掲げた。11日、埼玉県さいたま市の同校で、球団から指名あいさつを受け、入団に前向きな姿勢をみせた。身長197cmで日本国籍を持つ選手では、入団即NO.1高身長投手となる。将来のエース候補と球団が期待する右腕の挑戦が、スタートする。
スケールの大きさは体格だけではない。南投手の目標も大きい。学校で永山スカウト部長らに指名あいさつを受けた。直後の会見で堂々と言った。
「最終的に200勝がしたいです」。
さらに、近未来の目標も触れた。「将来性を買ってくれて指名してくれたと思う。でも、できるだけ早く1軍で活躍したい」。そして、高校3年間で4cm伸び、197cmになった身長の話題も、明るく対応した。
「キリよく2mまでいきたいですね」。
身長200cm&200勝。入団した時点で196cmの日本ハム・ダルビッシュ投手を超え「球界最高峰」になる男しか吐けない、夢のある言葉だった。
体格はユニークな家庭環境が育んだ。米国ミズーリ州生まれで、父が米国人のロイさん、母が日本人の直美さん。3歳のとき日本に来た。国籍も今は日本と米国の2つある。将来的には日本の国籍を選ぶ方向で「日本代表選手にもなりたい」と言う。そして、最後は生まれた土地、アメリカでのプレーも夢見る。最速145km/hを誇る右腕の希望は、大きな体に秘める可能性のようにふくらむ。
指名あいさつを受けて「(プロ入りの決断は)一生にかかわってくること。両親と決めていきたい」と言葉を選んだ。プロ志望届を提出した時点で、心は決めているが、慎重な姿勢をみせたのも、南家ならではの理由がある。ドラフト直前だった先月中旬、父ロイさんが米国サンディエゴの大学講師として単身赴任になった。ドラフト当日に3位指名されたとき、数分しか話せていない。「父には、相当な努力が必要と言われました」。南投手はあどけなさの残る表情をグッと引き締めた。
覚悟はある。まずは体重増を誓った。現在85kg。「できれば入るまでに90kgにしたい」。今後は自分で練習メニューを考えながら、スケールアップにつとめていく。ホークスのユニホームを着れば、弟子入りする師匠も決めている。「どの投手の話も聞きたい」と言うが、中でも身長192cmで再起を目指す斉藤投手にアタックする。「技術面もそうですが、気持ちの面を聞きたい」。
「打たれない真っすぐで勝負したい」。
家族との最終相談はまだだが、197cm右腕のプロの歩みが始まったのは、確かなようだ。