2026/02/18 (水)
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History of 徐若熙 ~グラブに刻む『SMILE』の矜持~ 2026年台日野球国際交流試合みどころコラム①

台湾にて2月25日(水)、26日(木)に福岡ソフトバンクホークスが出場する「2026年台日野球国際交流試合」について、台湾野球取材歴20年を誇る現地ライター駒田英氏が試合の見どころをコラム形式でご紹介。試合当日までに全4回を配信予定です。これを読めばホークスTVで生配信する当日の試合をより楽しめること間違いなしです。

マウンド上の「笑顔」はプロの矜持
幾度もの試練乗り越え世界の舞台へ
ホークスファンの皆さんへ
台湾からお届けする
「徐若熙(シュー・ルオシー)応援ガイド」

昨季はリーグ連覇、5年ぶりの日本一に輝いた福岡ソフトバンクホークス。このオフの補強の目玉といえるのが、25歳の台湾人右腕、徐若熙(シュー・ルオシー)だろう。
2月6日、「2026 WORLD BASEBALL CLASSIC™」出場20カ国の登録メンバーが発表され、正式に徐若熙が台湾代表として出場することが決まった。先発投手の中心となることは確実だ。
激しい争奪戦を制し、ホークスが大型契約を結んだ徐若熙とは一体どんな選手なのか。台湾に20年滞在し、台湾のアマ、プロ野球を追いかけてきた筆者が徐若熙のこれまでの歩み、人柄など、日本ではあまり語られていないエピソードをご紹介しよう。徐若熙をより身近に感じ、応援していただけるきっかけとなれば幸いだ。

新人だった2021年4月27日、一軍7試合目にして高校の先輩、古林睿煬(現・日本ハム)と先発対決。
この日、統一の4番はこのオフ、埼玉西武入りした林安可だった。

徐若熙は2000年11月1日、台湾北部、現在の桃園市で四人兄弟の末っ子として生まれた。台湾原住民族(台湾における先住民族の呼称)プユマ族の血も引いている。
お兄さんの影響で野球を始め、中学時代は遊撃手兼投手としてポニーリーグの世界大会優勝に貢献、台湾屈指の強豪、平鎮高校に進学した。北海道日本ハムファイターズの古林睿煬は一学年先輩にあたる。
バッティングが今ひとつだった事から、高校では投手に専念。ただ、台湾はこれまでにも「元遊撃手の好投手」を数多く生んできた。最も代表的なのは、ホークスでも2013年、14年に一軍投手コーチをつとめた「オリエンタル・エクスプレス」郭泰源氏だ。
高1の終わり、肘に違和感を覚え、軟骨剥離の手術を受けた徐若熙。しかし、リハビリと共に、フォームの見直しを行ったところ、球速が大きくアップ。高3になるとエースに指名され、最終的に球速は最速153キロに達した。そして、卒業後の2019年7月、CPBLのドラフト会議で、この年、20年ぶりにリーグに復帰した味全ドラゴンズから1巡目全体6位で指名された。

2019年12月、味全ドラゴンズでもチームメイトとなった高校の同期、劉基鴻(左)と

プロ入り後、肘のクリーニング手術で出遅れたものの、じっくり身体づくりを行った徐若熙は鮮烈なデビューを果たす。2021年3月17日、一軍初登板初先発となった中信兄弟戦は奪三振ショーに。本人が「最大の武器」と語る平均150キロの直球と、鋭く落ちるスプリットチェンジを主体に、3回と3分の2を投げ、アウト11個は全て三振という圧巻のピッチング。開幕3試合で26奪三振というリーグの台湾人投手新記録を樹立、国内外にその名を轟かすこととなった。
しかし、再び試練が襲った。2022年春、肘の違和感からスロー調整を送っていたところ、靭帯断裂が判明。医師は保存治療を勧めたが、本人が強く希望しトミー・ジョン手術を決行することとなった。一年あまりのリハビリ期間、心折れる事なく、チームメイトの倍のトレーニングを自らに課した徐若熙。徹底的に身体をいじめ抜いたことで、ピッチングはさらに凄みを増すこととなった。
2023年8月、復帰登板を果たすと、同年の台湾シリーズでは、チームを24年ぶりの台湾王者に導く熱投でMVPを獲得。いつからか「龍之子(The Son of Dragon)」と呼ばれるようになった徐若熙はドラゴンズのみならず、CPBLの顔となった。台湾初の室内球場、台北ドームのこけら落としとなった同年12月のアジア選手権では、台湾代表のエースとして、韓国との開幕戦、日本との決勝に先発。計12回を投げ18奪三振、自責点0と好投、国際舞台でも通用することを証明した。

2023年12月3日、アジア選手権、開幕戦の韓国戦で先発し7回無失点10Kと好投、記念すべき「台北ドーム初勝利投手」に。

2024年シーズンは94回3分の2を投げ、7勝の活躍。プレミア12は疲労を鑑み出場を回避したが、昨年2月のWBC予選には、エースとして出場。残り1枠をかけた最終日のスペイン戦では、3対2、わずか1点リードの4回裏から二番手で登板。3回3分の1を投げ1失点、自己最速タイ158キロをマークし、5つの三振を奪うなど、気合の入った投球でチームの士気を高め、出場権獲得に貢献した。
オフにポスティングを控え、登板の度にスカウトが熱視線を送った2025年シーズン。5月初旬からは、トミー・ジョン手術以来、医師の指示をもとにチームが課していた「球数制限」を解除、6月には、完封まであと一人という好投もあった。打線の援護なく、勝ち星こそ5勝に留まり、規定投球回数にもわずかに及ばなかったが、自己最多となる114回を投げ、防御率は2.05、奪三振120に対し14四球、WHIP0.81、被打率.191と、抜きん出た実力を示した。
本人も認めているが、昨年末、台湾で行われた記者会見で城島健司CBOが話した通り、徐若熙のピークはまだまだこの先。ホークスのアジアトップレベルの施設、最新テクノロジー、科学に基づいた指導により、更にスケールアップした姿をみせてくれるはずだ。

「笑顔」がトレードマーク、マウンド上で笑顔をみせる徐若熙。

大一番に強く、そして試合中、ピンチを迎えても、動じる事なく、剛球で打者をねじふせる徐若熙。マウンド上の姿からは、好投手の必須条件といえる強心臓、芯の強さを感じる。
ただ、彼のトレードマークは、リラックスした際にこぼれる「笑顔」だ。至って自然で穏やかな笑顔だが、本人は「SMILE」と刺繍した練習用グラブを注文するほど、この「笑顔」にこだわりがあるようだ。
本人曰く、プロに入ってからは「笑顔」を保つ事の重要さを特に感じているといい、CPBLの月刊誌『職業棒球』のインタビューの中では、「何かしら起きてしまったら、その時は立ち向かうしかない。それならば、心穏やかに受け止めた方がいい。仮に試合でいい投球が出来なかった時に不貞腐れた表情をしていたら、チームメイトにも悪いムードが伝染してしまう。どんな時も、自分は前向きな気持ちを保って努力し続けたい」と、その理由について説明している。
子供の頃は内向的な性格だったといい、現在もメディアの前では口数の多い方ではない。ただ、プライベートでは子煩悩な優しいパパで、チームメイトや家族などには、かなりコミカルな一面もみせるという。
そんな徐若熙の日本での生活を支えるのが、同学年で、小中学校時代には何度も対戦経験があるという、通訳の張為瀚(ジャン・ウェイハン)氏だ。中学卒業後、日本の鹿島学園に留学、東京国際大を経て、BCリーグの栃木ゴールデンブレーブスでは、あの川崎宗則と同僚だった。一昨年限りで現役を引退、昨季は楽天モンキーズで古久保健二監督(今季は味全の一、二軍巡回統括コーチ)の通訳を担当、俳優・王陽明(サニー・ワン)似の甘いマスクも注目された。お立ち台が今から楽しみだ。
ちなみに、徐若熙のニックネームは、名前のルオシーの当て字、「若C」だ。応援ボードを作製する際には参考にしてほしい。

2026年1月10日、
天母球場で開催された歓送セレモニー。

1月10日、味全ドラゴンズは、本拠地、台北市の天母球場で徐若熙の歓送セレモニーを開催、1000人以上のファンが集まった。
故郷台湾、味全ドラゴンズのナイン、そしてファンとの別れに寂しさをにじませた徐若熙。そして、これまでファンの前では決して弱音をはかなかった男が、怪我のリハビリ期間について初めて「苦しかった」と漏らした。ただ、目標があったからこそ、チームでの全ての時間が意義あるものに思えたといい、多くの人に支えられてきた中、こうした人たちを失望させたくないと感じていた、と振り返った。
台湾の多くのプロスペクトが、高校卒業後、直接海外球界に進む中、CPBLで成長し日本球界入りのチャンスをつかんだ徐若熙からは、古林睿煬同様、CPBL出身という意識を強く感じる。この日、ステージのバックパネルに書かれていた「ドラゴンズから世界へ、ドラゴンズの誇り」というフレーズは、味全球団、そしてファンの素直な気持ちだろう。
より高い舞台でのプレーを夢見て奮闘している後輩たちに向け徐若熙は、「夢があるなら、努力して実現させなければならない。意志さえあれば、体はついてくる」という金言を送った。
シビアなプロの世界、大型契約を結んだ外国人投手には金額に見合った活躍してもらうのは当然、という考え方はあるだろう。本人も、「まずしっかり環境に慣れてから」というチーム関係者の言葉に感謝しつつ、「全力でローテーション入りを目指し、チームの勝利に貢献したい」と意気込んでいる。ただ、ホークスファンの皆さんには、徐若熙自身が、CPBLの看板、台湾のファンの大きな期待を背負い、NPBという、よりレベルの高いステージに挑んでいることを知った上で、熱い声援を送って頂きたいと思う。
台湾の野球ファンにも人気の高いホークス。徐若熙の加入により、今シーズン、みずほPayPayドーム福岡には、より多くの台湾のファンが訪れることは間違いない。台湾と日本にとって野球は「共通言語」だ。是非、交流を深めてもらいたい。

文・写真:駒田 英

プロフィール

駒田 英(こまだ えい)

大学卒業後、一度は一般企業に就職も、台湾及び台湾野球への関心が高じて2006年に来台。語学学校を経て大学院で翻訳を専攻。卒業後、政府系国際放送局の日本語放送パーソナリティとなり、以降スポーツ番組は15年にわたって担当。
ソフトバンクが出場した2011年のアジアシリーズから取材をスタート、同大会での「韓国プロ野球の伝え手」室井昌也氏との出会いがきっかけとなり、2015年、『台湾プロ野球〈CPBL〉観戦ガイド』に執筆者の一人として参加、以降、昨年まで全4冊の制作に関わった。
永住権取得後はより活動範囲を広げ、台湾プロ野球のほか、WBCやプレミア12、アンダー世代を含めた各国際大会で台湾代表を取材。『パ・リーグインサイト』等、日本メディアにも寄稿している。

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