 | | 今季初勝利を挙げた杉内投手(右)は「お前のほうがヒーローだから」と本多選手の手を強引に取る | 杉内俊哉投手が痛みを味わいながら今季1勝を手にした。7回7安打3失点。失点は高橋選手のソロ、スレッジ選手の2ランとすべて本塁打。その複雑な気持ちはお立ち台での苦笑いに表れた。「先発の役目は果たしたけど、流れが悪い。点を取ってもらった後に逆転されて…」。完ぺき主義者としては素直に喜べるはずがなかった。 2回の日本ハム・高橋選手の先制弾には「あそこまで飛ばされる」とマウンドで一瞬、顔色を変えた。4回無死一塁からはスレッジ選手にバックスクリーンへ運ばれた。「あれは甘かった」。笑って失投を認めたが、小久保裕紀主将は「マウンドにいったら沸騰しとった。顔が変わっていた」と、鬼気迫る表情だったと証言。その後の杉内投手はきっちりゼロを並べた。得点圏に4度走者を置いたが、タイムリーはなし。被弾による失点の陰で、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)防御率0.00の左腕が高い能力を示した。 目標としてきたWBCで連覇。今年は「2時間もすると肩が張ってしまう」と趣味の読書を封印し、初めて本を開いたのは米国から帰国する機内だった。帰国後はオフのトレーニングを優先してくれた家族と大分・湯布院温泉に向かい、感謝の気持ちを伝えた。お風呂で一緒にはしゃいだ長男が今春、幼稚園に入園。お祝いを兼ねた白星で、第2の開幕を迎えた。 「WBCはもう過去のこと。今日の未来のことを考えながらやりたい」。試合後の杉内投手はさっぱりしていた。チームの連敗を3で止める勝利。秋山監督は「1発だけだもんな。そこだけ気を付ければ。実力は持ってる。これで開幕したから、どんどんいってほしい」と期待を込めた。世界の頂をつかんだ力が発揮されるのはこれからだ。 |