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ステージ上でバットを構え、指導する松中選手 |
松中信彦選手が26日、術後初めての“スイング”を披露した。川崎宗則選手らとともにシンポジウムへ出席。高校球児から「内角のさばき方を教えてください」とせがまれ、10月に左ひじと右ひざの手術を受けて以来の封印を解いた。
故郷熊本で迎えた36歳の誕生日に、火の国生まれの熱い血が燃えたぎった。両手でバットを握ると、もう止まらない。患部をかばうゆったりとした動きで振り抜いた。会場内の視線を一身に集め「誰もが詰まりたくないけど、詰まってもボールが飛ぶのがいいスイング」と、得意の内角攻略について熱弁を振るった。
本来なら来年2月1日のキャンプインまで「ノースイング」のはずだった。同1月のグアム自主トレでもバットは封印の予定。それでも熊本県内55校(軟式2校含む)の野球部員ら993人を前にして、体を張って期待に応えた。自身5年ぶりの参加となった同シンポジウムは、プロアマの垣根を越えて高校球児たちと交流ができる貴重な場。母校秀岳館(旧八代一)の後輩からは誕生日を祝う花束を手渡され、「シンポジウムがなかったら(花束贈呈も)なかったこと。うれしい」と笑みを浮かべた。
特別サービスを敢行できたのも、回復が順調だからこそだ。今月からランニングを再開。「例年通りには厳しいことはできない。ただ、開幕に合わせるというのは変わらない」。来年3月20日の開幕に向け、リハビリに取り組んでいる。地元の後輩たちと過ごした3時間は、かけがえのない活力源になったはずだ。