球界の一年を締めくくる恒例行事「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2025」。明治神宮野球場と横浜スタジアムを舞台とし、12月26日に開幕しました。日本一連覇を狙う福岡ソフトバンクホークスジュニアは大会初日、横浜DeNAベイスターズジュニアと対戦。初回に2点を先制すると、投手陣が被安打1の完封リレーを見せ2-0で勝利。今季から指揮を執る嘉弥真新也監督の初陣を勝利で飾りました。
| チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ベイスターズジュニア | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
![]() ホークスジュニア |
2 | 0 | 0 | 0 | 0 | X | 2 |
ベイスターズジュニア:塚野、阿部ー増田
ホークスジュニア:石光、萩原ー宮城、石光
ホークスジュニアが投手戦を制した。先発の石光奏都選手が初回三者凡退の立ち上がりを見せると、打席でも四球を選び自ら出塁。その後盗塁を決め、1死2塁のチャンスで3番の信樂隼大朗選手が振り抜いた打球はセンターへの先制タイムリー二塁打に。
続く2死3塁で5番の石丸輝真選手が全力疾走で内野安打をもぎ取りさらに1点を追加し、初回に2点のリードを奪った。
その後は両チームによる投手戦に。石光選手は2回に1安打を許すも以降は完全投球と、圧巻のピッチングを見せた。125km/hを超えるストレートを中心に力で勝負し、相手に攻撃の隙を与えなかった。
バックも固い守りでリズムをつくっていく。風も強く吹きつける中、内野陣・外野陣ともにフライも全てアウトにするなど、ノーエラーで石光選手を盛り立てた。
そのまま2-0とリードし迎えた最終回は萩原蒼太選手が2番手として登板。この回を三者凡退に抑え、ホークスジュニアが勝利を掴んだ。
翌27日の次戦は明治神宮野球場に場所を移し、千葉ロッテマリーンズジュニアと対戦する。今季就任した嘉弥真新也監督は初陣を勝利で飾り、日本一連覇に向け好スタートを切った。
選手たちが頑張ってくれました。まずは一勝できて本当によかったです。
僕も初めての監督ということで、あまり考え過ぎずに臨みました。選手たちにやりたいようにプレーしてもらうのが僕の役目なので、その意識を持ってもらうよう心がけていました。
選手たちには「緊張はするものだよ」と。早く自分のペースに持ち込めるように、試合に慣れて緊張をほぐしていこうと伝えました。
初回に点を取れたのが大きかったです。打つべき選手が打って、抑えるべき選手を抑えられた試合だと思います。
石光選手は完投させない考えでいました。明日も明後日もありますので。
打球が飛びましたね。でも信樂選手はまだまだ飛ばせる選手です。
今日のような守り勝つ野球をします。
自分たちで考えて練習できていますし、自分たちで話し合って行動もできています。この短期間だけでも大きく成長していると感じています。
1試合1試合、みんなで頑張っていきます。
すごく緊張して、最初は足が震えていました。勝てて本当に嬉しいです。
必ず3人で抑える気持ちで投げていました。
自分では投げ切ろうと思っていました。
打たせれば味方がアウトにしてくれるので、安心しながら投げました。
自分の好きなように、投げて来なと言ってもらいました。
自分がピッチャーをした時は必ず0点に抑えて6イニング投げる気持ちで行って、バッターでは塁に出ることやホームランを打って、試合に勝ちたいです。
センターフライかと思ったのですが、伸びてくれました。少し当てに行ったバッティングでしたが、ヒットが出てくれてよかったです。
自分が打てばチームのためになるので、盛り上げてチームに貢献できるようにと思って臨みました。
下半身のトレーニングをずっとコーチたちが教えてくれました。そのおかげで今日チャンスで打てたのですごく感謝しています。
明日も引き続きいいバッティング続けたいです。今日はボールの下を叩き過ぎてしまったので、修正するようにしたいです。
両先発による好投が続いた開幕戦、石光奏都がホークスジュニアの勝利を手繰り寄せた。
先発マウンドに上がると初回から120km/hを超えるストレートを投げ込み、先頭から連続三振を含む三者凡退のピッチングで自軍の先制点へと繋げた。
最初にあった緊張は「初回を3人で抑えられてほぐれていきました」と語り、その後の快投へとつながった。
父の清敏さん・母の佳代さんは「私たちも緊張していました」と、大舞台で躍動する息子のプレーに声援を送っていた。
「小さい時からボールを投げることがとにかく好きで、家で子どもたちで投げ合って遊んでいた」(佳代さん)という奏都選手。それならばと、保育園の時に体験会へ連れて行ったのが野球との出会いだった。
3きょうだいの長男で「普段は誰とでも友達になれるような明るいタイプ」と語りつつ、ユニフォームを着るとその姿に「ギャップがあります」と2人は即答。スイッチが入ったように野球人としての血が湧いてくるのだという。
ホークスジュニアへの挑戦は清敏さんからの提案がきっかけだった。
「九州や山口・沖縄からたくさん来られるということで、息子が今どのくらいのレベルにいるかを親としても見たかったですし、本人にも自分の立ち位置を知ってほしい想いがありました」
そして念願のホークスジュニアのメンバーに入り、元々持っていた実力をさらに磨いていった。その要因の一つは、自主練習を習慣化させたこと。佳代さんがこれまでの取り組みを明かしてくれた。
「故障しない体づくりをすることをテーマに、ストレッチを自分で学んでそれを続けています。身体が硬かったのですが、徐々に柔軟性も出てきているのかなと近くで見て感じています」
チームとして日本一連覇を目指す今年のトーナメント。息子の力投で初戦勝利という大きなスタートを切った。
「チームのために頑張ってほしいです。とにかく一戦必勝で連覇してほしいと思います。そのために声が潰れてでも全力で応援します」
最後に力強く述べた清敏さん。確かめたかったその立ち位置は、誰もが目指す最高峰の舞台であった。