


【10月15日(水) ホークス3×-2ファイターズ ヤフオクドーム】
劇的勝利の流れはまだ続いていました。10月15日(水)の「2014ローソン クライマックスシリーズ・パ ファイナルステージ」の初戦は、起死回生の9回逆転サヨナラ勝利。アドバンテージを含めて2勝0敗とし、日本シリーズまであと2勝としました。
絶対にあきらめない――「10・2」の激闘を勝ち抜いて一段と逞しくなったホークスが、土壇場で見事やってくれました。1点を追いかける9回裏、まずは先頭の李大浩選手が四球で出塁(代走・江川智晃選手)。続く松田宣浩選手は送りバント失敗で追い込まれるも、バットを短く持ち直して必死にファウルで粘った後の7球目をセンター前に弾き返して無死一、三塁とチャンス拡大に成功しました。中村晃選手は二ゴロに倒れましたが、松田選手が上手い走塁で1死二、三塁。ここで打席入ったのが吉村裕基選手でした。
「とにかく犠牲フライでも同点。ベンチの指示も『打っていけ』だったので、気合を入れていきました」
熱い気持ちで集中力を高める中、じつはその直前にある直感が頭の中をよぎりました。
「バットを変えよう」
普段は34インチ(約86cm)のバットを使用していますが、ファイターズが投手交代した時間でロッカーまで走っていき、33.5インチのバットに持ち替えて打席に臨みました。
「相手投手の球が速かったし、前の打席で真っ直ぐに詰まっていたので。バットを短くした分、芯が手前にズレますからね。ほんのわずかな感覚ですが」
滅多にバットを変えることはしないと言いますが、この時ばかりはなぜか閃いたと言いました。そして2球目の直球をきっちりジャストミート。強烈なライナーがセンターの頭上を越えていき、見事な逆転サヨナラ2点ツーベースとなりました。
「最高でした。みんなが僕の方に向かって走ってくるので、必死に逃げたら普段はそんなに走らないので無呼吸状態になってむせちゃいました(笑)」
その瞬間、ベンチからはみんな一斉に飛び出しました。秋山幸二監督も笑顔、笑顔。ベンチ裏では歓喜のハイタッチの列が出来ました。
「ホークスに来て、秋山監督にはたくさんバッティング指導をしていただいています。スゴイと思うのは、今はベンチから野球を見ているだけのはずなのに、まるで実際に打席に入っているようなアドバイスを貰えること。僕もプロ野球選手ですが、スーパースターから言葉を掛けてもらっているような感覚もあり、すごく幸せなことだと思っています」
投げては大隣憲司投手が好投し、チームには力強い追い風が吹き始めました。あと2つ勝ってまた監督を胴上げしよう。そしてあと2回、日本一の胴上げで送り出そう。それがチームの合言葉です。