2026/02/23 (月)
ホークスTV

知れば100倍楽しめる台湾野球の豆知識 2026年台日野球国際交流試合みどころコラム②

2月25日(水)、26日(木)に福岡ソフトバンクホークスが出場する「2026年台日野球国際交流試合」について、台湾野球取材歴20年を誇る現地ライター駒田英氏が試合の見どころを紹介するコラムシリーズ第2弾。これを読めばホークスTVで生配信する当日の試合をより楽しめること間違いなしです。

-2026台日野球国際交流試合、WBCがもっと楽しめる- 知っておきたい台湾野球豆知識

2024年11月に行われた「第3回WBSCプレミア12」、台湾は決勝で、国際大会27連勝中の日本を4-0で下し、主要国際大会初制覇、トッププロ同士の対決では10戦目で初勝利をあげた。
台湾では、プレミア12優勝をテーマにしたドキュメンタリー映画『冠軍之路(HERO! HITO!)』がお正月映画として公開され、興行収入は既にドキュメンタリー映画として史上2位の8200万台湾元(日本円約4億円)を突破している。
プレミア12での粘り強い戦いぶりを目にし、台湾野球のイメージが変わったという方、また、国を挙げての大フィーバーに驚いた、という方もいらっしゃることだろう。
2月25日に中信兄弟、26日にWBC台湾代表と行うホークスの交流試合、そして、「WORLD BASEBALL CLASSIC™」本大会における3月6日の日台対決をより楽しんでいただけるよう、今回は、台湾野球に関する豆知識をご紹介したい。

日本を破ってのWBSCプレミア12優勝は、台湾野球において史上最大のトピックといえる。

まずは、優勝したプレミア12でもメンバーの主体となった台湾プロ野球(CPBL)について、基本事項をおさらいしよう。1989年に創設され、1990年に4球団でスタートしたCPBLは、現在、楽天モンキーズ、中信兄弟、統一セブン-イレブンライオンズ、台鋼ホークス、味全ドラゴンズ、富邦ガーディアンズの6チームで開催されている。
シーズンは前後期各60試合の計120試合。必ず毎年プレーオフを実施することが決まっており、前後期の優勝チーム及び年間勝率をもとに、ポストシーズンの組み合わせが決まる。
2025年シーズンは、前期は統一、後期は中信が制し、半期優勝2チームのうち、年間勝率1位となり、統一を上回った中信が7試合制(4戦先勝)の台湾シリーズに直接進出した。
前期優勝の統一は1勝のアドバンテージをもって、年間勝率3位の楽天と、4試合制(3戦先勝)のプレーオフで対決、統一が初戦を取って王手をかけるも、楽天がそこから3連勝し勝ちあがった。
中信兄弟が平野恵一監督、楽天が古久保健二監督と、36年目で初の日本人監督対決となった台湾シリーズは、楽天がプレーオフの勢いそのままに4勝1敗で制し「下剋上」。前身チーム含め8度目、楽天が親会社となってからは、初の台湾王者となった。

2018年から2019年にかけ開催された台湾プロ野球30周年特別展。幅広い年代のファンが訪れ盛況となった。

プレミア12の優勝もあり、2025年は、史上空前の盛り上がりをみせたCPBL。しかし、ここまでの歩みは決して平坦なものではなかった。
1987年、戒厳令が解かれ、民主化を果たした台湾では、アジア3番目のプロ野球誕生を望む声が高まった。こうした中、ノンプロチームをもっていた兄弟ホテルの洪騰勝・董事長の働きかけもあり、1989年、台湾プロ野球(CPBL)が創設。翌1990年、兄弟エレファンツ、統一ライオンズ、味全ドラゴンズ、三商タイガースの4球団でスタートした。開幕戦には王貞治氏が招待され、始球式で打者をつとめた。
CPBLが誕生したことで、日本のプロ野球や社会人野球でプレーしていたトップ選手らが帰国、1992年、バルセロナ五輪での銀メダル獲得も人気に火をつけることとなった。翌年からは五輪の主力を中心とする時報イーグルス、俊国ベアーズの2チームが加わり、6球団体制となった。
1試合の平均観客数は約5,000人から7,000人弱をキープし、順調に発展を遂げていたが、1996年、激震が走る。八百長事件の発覚である。1997年、CPBLには和信ホエールズが加盟、史上最多の7球団まで増えたものの、その後数年で、複数のチームが解散を余儀なくされた。
さらに、リーグへの加盟申請を却下された企業や、放映権争いに敗れたテレビ局が、第二のプロリーグTMLを設立、CPBLの主力選手を引き抜き、1997年、4球団で開幕した。
TMLは当初、話題を集めたが、次第に選手層の薄さが露呈。一方のCPBLは2000年に1試合平均1,676人まで落ち込んだが、大物新人の獲得や国際大会での健闘により、観客動員数を少しずつ回復させていった。当時の陳水扁・総統の働きかけもあり、2003年、両リーグは合併、旧CPBLは4球団のまま、旧TMLは2球団となり、新生CPBLは計6球団で船出を切った。
しかし、以降も苦難の時代は続いた。12年ぶりの出場となったアテネ五輪が行われた2004年、平均観客数は3,505人まで持ち直したが、八百長事件はその後、幾度も発生。2008年には2球団が解散し、再び4球団まで縮小した。この時代はプロアマ間の関係も芳しくなく、国際大会でも、2008年の北京五輪と2009年のWBCで中国に連敗するなど、台湾野球にとってはまさに「冬の時代」であった。

2023年12月、台北ドーム開幕セレモニーに出席した王貞治氏(前列右から三番目)。「世界の王」は常に台湾球界にも関心を寄せてきた。

リーグ存続まで危ぶまれた中、台湾プロ野球を救ったのは選手自身だった。2013年、前年の予選から勝ち上がったWBCで、台湾代表は強豪ぞろいの1次ラウンドを突破、初のベスト8進出を決めると、2次ラウンド初戦で侍ジャパンと歴史的死闘を繰り広げ、国民に感動を与えた。また、興農ブルズを引き継いだ義大ライノスが、大物マニー・ラミレスを獲得、多くのファンが球場へつめかけ、1試合平均観客数も12年ぶりの6,000人台と、V字回復を遂げた。
今や日本でもおなじみ、電子音楽を使い、一、三塁の内野スタンドでチアリーダーが盛り上げる応援スタイルは、この時期、韓国プロ野球からインスピレーションを受け、アレンジ、発展したものである。
同時に、長期的な視野をもち、資金が豊富な大企業でなければ球団を運営できない時代に突入した。2013年オフには、台湾プロ野球創設の功労者、兄弟エレファンツが中信に、2016年には義大が富邦へと、いずれも台湾を代表する大手金融に球団を売却、2019年には日本の楽天が、資金難の人気球団Lamigoを買収した。
一方、2019年には、1999年に解散しリーグを脱退していた味全ドラゴンズが「第5の球団」として20年ぶりに復帰、2022年には、蔡其昌・コミッショナーの尽力もあり、「第6の球団」台鋼ホークスが参入した。
球団運営企業のスケールアップは、ハード、ソフト面に加え、待遇の改善をうながした。新型コロナウイルスの影響もあり、メジャー経験者や3Aクラス、さらに日本プロ野球一軍経験者が次々に帰国、また、台湾の高校生プロスペクトで、まずCPBLに進む選手も増えてきた。古林睿煬(北海道日本ハム)や徐若熙(福岡ソフトバンク)はその代表例だ。さらに外国人選手のグレード向上も、リーグのレベルアップにつながった。
そして2024年、ファン待望の室内球場「台北ドーム」の運用開始、16年ぶりとなる1軍6球団制復活により、CPBLの観客動員は1試合平均7,684人と過去最高を記録、さらに同年11月、WBSCプレミア12では低かった下馬評を覆し、侍ジャパンを破っての優勝、台湾全土がお祭り騒ぎとなった。
昨年2025年、2月のWBC予選を辛くも突破し、盛り上がりを開幕につなぐと、台湾プロ野球は観客動員数、平均観客数をいずれも大幅に更新。1試合平均10,373人という数は、日本の方には物足りなく感じられるだろうが、この36年間の歩みを知ると、特別な数字であることがお分かりいただけるだろう。

2019年、味全ドラゴンズでプレーした川﨑宗則は、台湾の若手にプロの姿を伝えた。

台湾野球、特にプロ野球のレベル向上において、日本人指導者、日本人選手の存在も忘れてはならない。CPBLの黎明期では森下正夫(元南海等)、山根俊英(元大洋等)が率いた兄弟が1992年から3連覇、各球団が積極的に日本人指導者を招請し、1995年は6球団5球団で日本人が監督をつとめた。
また、2リーグ分裂時代、郭泰源氏が技術顧問をつとめていたTMLでは、元同僚の渡辺久信と石井丈裕が指導者を兼任する形でプレー、共にタイトルを獲得するなど、活躍をみせた。
厳しい指導も、多くの選手に慕われたのが、兄弟などで主に内野守備コーチをつとめた榊原良行氏だ。台湾球界ではなお、榊原氏の教え子達が幅広く活躍している。
メジャー経験もある大物「日本人助っ人」としては、2010年に髙津臣吾が興農ブルズで、2021年に田澤純一が味全ドラゴンズでプレー、いずれもリーグを代表する守護神として活躍をみせた。また、アジアウインターリーグへの参加という形であったが、2019年、再参入の味全で川﨑宗則がプレー、高い技術とハッスルプレーは、プロ経験のない若手に大きな刺激を与えた。
CPBLでは一時期、アメリカスタイルの野球がもてはやされたが、2020年の後期シーズンから公式球の反発係数の見直しがなされ、「打高投低」が解消すると、投手力や守備力、細かい戦術がより重視されるようになり、日本人指導者が急増した。
現在6球団中5球団に在籍し、冒頭でも触れたように、昨年の台湾シリーズは初の日本人監督対決となった。元阪神の林威助氏が副GMをつとめる富邦は、日本人指導者が史上最多の7人に。一軍監督が後藤光尊氏、二軍監督が酒井忠晴氏と、史上初、日本人が一、二軍監督をつとめる球団となった。多くの日本人指導者が強調されるのは「自チームだけでなく、台湾野球全体の実力を高め、自分がいなくなった後も活かせる知識、技術を伝えたい」という強い思いだ。

台湾を代表する強豪、穀保家商で1年生からAチーム入り、2年生でU18代表入りを果たした張峻瑋投手。彼もアミ族の選手だ。

台湾において野球は「國球」と呼ばれ、日本同様、国民的人気スポーツだが、異なる点もたくさんある。まず、一つ目は野球人口の少なさだ。大都市を中心に学歴社会で、一般生徒が部活動に参加することがまれな台湾では、高校野球はグレード別にはっきり分かれており、木製バットを使うトップレベルの部活は40校ほど。以前に比べ裾野は広がりつつあるが、選手層の薄さは大きな課題だ。
そして、エスニック・グループ別では、人口比2.6%に過ぎない台湾原住民族(台湾における先住民族の呼称)のルーツをもつ選手が極めて多い。TIBDA(台湾原住民族棒球運動発展協会)が持つ最新のデータによると、CPBL全選手のうち、「原住民族身分法」によって規定される台湾原住民族の選手の割合は実に46%に達する。理由は諸説あるが、身体能力に加え、野球含めスポーツが身近な環境、経済面などが指摘されている。
また、国際大会への重視ぶりも一つの特徴だ。興行的にも、CPBLは国際大会における代表チームの奮闘によって、新たなファンを獲得してきた。台湾では1960年代後半以降、政府により、野球による「国威発揚」という意義が見出され、少年野球を皮切りに強化が図られ、野球とナショナリズムが結びついていた時代があった。
民主化され、自由な社会となった現在も、国際社会における微妙な立場は変わらない。 こうした中、台湾が世界と張り合える野球は台湾人にとって時にスポーツを超えた存在となり、多くのファンが国際大会に熱狂する。また選手たち自身にとっても、ナショナルチームのユニフォームに袖を通すことは子供の頃からの夢でもある。
とりとめもなく書き連ねたが、これでも台湾野球に関する豆知識の一部を紹介したのみだ。交流試合を通じ、台湾野球に興味をもってくださる方が一人でも増えたら幸いだ。

文・写真:駒田 英

台日野球国際交流試合のチケットはこちら

プレイガイド(外部サイト)

拓元售票

購入には拓元售票の会員登録が必要です。
購入後は、台湾の7-ELEVENにて発券となります。

クレジットカード対応可
1会計で4枚まで、1試合は20枚まで購入可能

プロフィール

駒田 英(こまだ えい)

大学卒業後、一度は一般企業に就職も、台湾及び台湾野球への関心が高じて2006年に来台。語学学校を経て大学院で翻訳を専攻。卒業後、政府系国際放送局の日本語放送パーソナリティとなり、以降スポーツ番組は15年にわたって担当。
ソフトバンクが出場した2011年のアジアシリーズから取材をスタート、同大会での「韓国プロ野球の伝え手」室井昌也氏との出会いがきっかけとなり、2015年、『台湾プロ野球〈CPBL〉観戦ガイド』に執筆者の一人として参加、以降、昨年まで全4冊の制作に関わった。
永住権取得後はより活動範囲を広げ、台湾プロ野球のほか、WBCやプレミア12、アンダー世代を含めた各国際大会で台湾代表を取材。『パ・リーグインサイト』等、日本メディアにも寄稿している。

ホークスTVご契約方法

  • (1)下記よりホークスTVへアクセスし、「会員登録」ボタンでご自身のメールアドレスを登録
    https://tv.softbankhawks.co.jp/signup/email
  • (2)登録したメールアドレス宛に届いた「PINコード」をコピーまたはメモで控えておく
  • (3)メールアドレス登録後に開く「PINコード入力画面」にPINコードを入力
  • (4)PINコード入力後に開く会員情報入力ページに下記情報を入力し、登録ボタンを押して完了
    ・ご自身の情報
    ・決済方法(クレジットカード/PayPay決済)の選択

お問い合わせ先

ホークスTVに関するお問い合わせ先

E-mail
info-mail@softbankhawks.co.jp

ご不明点などございましたら下記を最初にご確認ください。
https://tv.softbankhawks.co.jp/help

関連リンク

ホークスTV一覧へ戻る
  1. トップ
  2. ニュース一覧
  3. 知れば100倍楽しめる台湾野球の豆知識 2026年台日野球国際交流試合みどころコラム②