2月25日(水)、26日(木)に福岡ソフトバンクホークスが出場する「2026年台日野球国際交流試合」について、台湾野球取材歴20年を誇る現地ライター駒田英氏が試合の見どころを紹介するコラムシリーズ第3弾。25日に対戦する中信兄弟にはホークスとゆかりのある選手が・・・!?注目の選手をピックアップ
台湾北部、台北市の台北ドームで開催される「2026年台日野球国際交流試合」で、ホークスが初戦2月25日に対戦するのが、台湾プロ野球(CPBL)の中信兄弟(ちゅうしん きょうだい/CTBC Brothers Baseball Club)だ。台湾王者10度はリーグ最多タイ、豊富な資金力を誇る中信グループの全面バックアップにより、直近5年で3度優勝と再び黄金時代を迎えており、熱狂的なファンでも知られる人気、実力No.1チームだ。
中信兄弟は、台湾プロ野球(CPBL)創設に尽力した兄弟大飯店(ブラザーホテル)のチームで、CPBL発足時の4チームのうちの1つ、兄弟象(きょうだいエレファンツ)を前身にもつ。三連覇を二度達成するなど7回優勝した兄弟象は、2013年、経営状況の悪化により、断腸の思いで球団を売却したが、新たなオーナーとなった大手金融グループの中信は、兄弟球団及びファンの要望を受け入れ、「中信兄弟」と新たな球団名に「兄弟」の二文字を残した。イエローを基調とした伝統のユニフォームもイメージを変えず、マスコットも「代替わり」こそしたものの、依然、象のキャラクターが活躍している。
今回の交流戦は台湾初の室内球場、台北ドームで行われるが、中信兄弟の本拠地は、中部・台中市の台中インターコンチネンタル球場だ。2015年当時は、チームと特にゆかりのなかった台中をホームに選んだことに驚きの声も起きたが、現在は本拠地としてすっかり定着、昨季の平均観客数は台北ドーム以外の球場では唯一1万人を超えた。アメリカンスタイルのゆったりとした設計で、内野席後方には広いコンコースがあり試合が見やすい。最南端・屏東県には、CPBL球団初の専属ファーム施設がつくられ、キャンプ地としても使用されている。
チームを率いるのは、かつてオリックスや阪神で活躍した平野恵一監督だ。2022年1月、当時の監督で、阪神時代同僚だった林威助氏の要請で一軍打撃兼内野統括コーチに就任すると、熱心な指導で若手の底上げを行い2連覇に貢献。ファームディレクターを経て、2023年12月、第19代監督に指名されると、2024年、監督初年度で台湾王者となった。昨季は、台湾シリーズで楽天モンキーズに敗れたものの、シーズンでは2年連続で年間勝率1位を達成した。
監督になってもエネルギッシュで、キャンプや試合前練習でグランドを動き回る姿は現役時代のイメージと変わらない。コミュニケーションを重視し、厳しくも愛情あふれる指導、貪欲に新たな知識を学び、選手に還元しようとする姿勢は高く評価されている。コミカルな性格もファンにおなじみで、台湾のファンからは「平野(ピンイエ)」と呼ばれ、親しまれている。
平野監督率いるチームは「全員野球」がモットー。投打のタイトルホルダーは2024年はゼロ、2025年は1人のみだが、2年連続でリーグ最多の70勝(50敗)をつみあげた。
基本的には「守り」のチームで、昨季も先発ローテーションの防御率はリーグトップ、エラーはリーグ最少タイだった。打撃は、リーグでの傑出度を図る「OPS+」が100を上回った打者が7人おり、チームの得点もトップだった一方、9完封を喫すなど、チグハグさも目立った。
こうした中、平野監督自ら声をかけ、オリックス、中日でプレーした後藤駿太氏が一軍打撃メカニクスコーチに、元ヤクルトの西田明央氏が一軍打撃戦略コーチに就任した。
全体的にまじめで練習熱心な選手が多く、平野監督も「可愛くて仕方がないのだけど、監督だから心を鬼にして厳しく接している」と、選手たちの姿勢を評価している。
今回の交流試合に出場するのは、サポートメンバーも含めWBC代表組以外の主力、期待の若手という形となる。中信兄弟にとっては今季初の対外試合、「日本一」のホークスが相手ということもあり、平野監督は「多くのファンの皆さんが球場に来てくれると思うので、できる限りいいメンバーで臨みたい」と話している。
注目選手については、「ホークスとの縁」という切り口でご紹介しよう。海外のウインターリーグやキャンプへの参加はもちろん、一流選手との交流、最先端の技術、トレーニングに触れることで成長を促したいと考える平野監督は、このオフ、多数の選手を次々に海外に送った。こうした中、山川穂高選手との自主トレが実現したのが、37歳の主砲、陳俊秀だ。
大学入学後、インディアンス(現・ガーディアンズ)と契約し3Aまで昇格も、2014年に帰国。同年のCPBLドラフトでは全4球団から1位指名を受け、当時のLamigoモンキーズに入団した陳俊秀は、これまで二度の首位打者、6年連続の二桁本塁打、2018年にはシーズンMVPに輝き、12年間の平均打率は.317、通算145本塁打と、高い打撃技術をもつスラッガーだ。2023年オフにFAで中信兄弟に移籍、36歳で迎えた昨季は怪我の影響もあり、65試合出場、打率.240、4本塁打、OPS.698と不振に陥った。
契約3年目の今季、優勝奪還の為、再び身体を作り直したいと考えていた中、平野監督の橋渡しにより、昨季の日本シリーズMVP、山川選手の自主トレへの参加が実現した。
12日間の練習で驚かされたのは、「秋季キャンプの若手並み、それ以上かも」という山川選手の圧倒的な練習量だった。特にフィジカルのトレーニング量は相当なものであったという。陳俊秀は交流を通じ「練習方法、春季キャンプ前の準備、開幕時の取り組み、シーズン中、好調時、不調時のそれぞれの調整方法」などについて学んだといい、帰国後も、山川選手のトレーニングメニューをもとに調整、技術面、フィジカル面もともに好調で、「若返った」と笑顔をみせている。
また、交流試合直前には、ホークスOBで、昨季シーズン中にも、試合前に軽く指導を受けたイ・デホ氏が客員コーチとして来台予定だ。山川穂高、イ・デホというホークスの歴代4番打者から学んだ陳俊秀が、まずは交流試合、そして、今季どんなパフォーマンスをみせてくれるのか、今から楽しみだ。
一方、投手陣はこのオフ、「球界屈指の頭脳派」工藤公康氏の指導を受けた。昨年2月の春季キャンプでも客員コーチとして招かれた工藤氏から、じっくり指導を受けた左腕の魏碩成や林暉盛は谷間の先発を担い、飛躍のシーズンとなった。
好評だった「工藤塾」は今年も開講。1月には元阪神、ベテラン呂彦青のほか、陳柏均、張祖恩、游竣宥の若手左腕、そして期待の先発候補右腕の盧孟揚の5人が日本を訪れ、データ分析をもとにした技術指導を受けた。
工藤氏はさらに2月半ば、中信兄弟のキャンプを訪問。訪日組のフィードバックを行ったほか、投手陣全体に、身体の正しい使い方を意識させる為のトレーニングを課した。レジェンドからの貴重な直接指導とあり、選手たちは、厳しいトレーニングに悲鳴をあげつつ、成長のきっかけをつかもうと懸命に取り組んでいた。
このほか、交流戦へむけ、頭にいれておきたい主力としては、野手では昨季、キャリアハイに近い成績をあげ、ベストナインに輝いた「左の大砲」許基宏、パンチ力が魅力の詹子賢のほか、6年連続キャプテン、巧みなバットコントロールが光る王威晨、今春オリックスのキャンプに参加した正捕手の高宇杰、そして、守備のいい二塁手の岳東華とパワフルな打撃が持ち味、曾頌恩のプレミア12代表コンビらが挙げられる。
投手陣は、5人の外国人投手のいずれかが先発を担いそうだが、このうち、元阪神のニック・ネルソンが「黎克(リーコー)」の登録名で入団した。台湾人投手では、昨季はカムバック賞受賞、かつて埼玉西武でもプレーした元メジャーリーガーの李振昌、高校から福岡第一に留学し、大学、独立リーグと日本でプレー、昨季は自己最多の51試合に登板した王凱程(王鴻程)、ロッテで活躍した荘勝雄氏の甥にあたる3年目右腕の伍立辰ら、「日本」と縁のある選手たちの活躍にも注目したい。
そして、交流戦のもう一つの目玉は、球場の花、台湾では内野スタンドでファンを盛り上げることとなるチアリーダー達のパフォーマンスだ。
中信兄弟のチアリーダー「Passion Sisters」の参加メンバー8人は既に2月15日に発表されており、副リーダーの曼容(マンロン)、少鹽(イェンイェン)、衣宸(アンジェリア)、維尼(ウィニー)、瑄(ジェニファー)ら台湾人メンバーのほか、香港出身の小迪(ディッキー)、韓国人の邊荷律(ピョン・ハユル)、「JJUBI」ことパク・ソンジュという、国際色豊かな顔ぶれとなった。多くの台湾人ファンが「ハニーズ」の来台、そして「Passion Sisters」との共演を心待ちにしている。
文・:駒田 英
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購入後は、台湾の7-ELEVENにて発券となります。
クレジットカード対応可
1会計で4枚まで、1試合は20枚まで購入可能
駒田 英(こまだ えい)
大学卒業後、一度は一般企業に就職も、台湾及び台湾野球への関心が高じて2006年に来台。語学学校を経て大学院で翻訳を専攻。卒業後、政府系国際放送局の日本語放送パーソナリティとなり、以降スポーツ番組は15年にわたって担当。
ソフトバンクが出場した2011年のアジアシリーズから取材をスタート、同大会での「韓国プロ野球の伝え手」室井昌也氏との出会いがきっかけとなり、2015年、『台湾プロ野球〈CPBL〉観戦ガイド』に執筆者の一人として参加、以降、昨年まで全4冊の制作に関わった。
永住権取得後はより活動範囲を広げ、台湾プロ野球のほか、WBCやプレミア12、アンダー世代を含めた各国際大会で台湾代表を取材。『パ・リーグインサイト』等、日本メディアにも寄稿している。
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