2月26日(木)に福岡ソフトバンクホークスが出場する「2026年台日野球国際交流試合」について、台湾野球取材歴20年を誇る現地ライター駒田英氏が台湾代表戦の見どころを紹介。苦労人の剛腕クローザーやイケメンリーダー対決など注目対決をピックアップ
台湾北部、台北市の台北ドームで開催される「2026年台日野球国際交流試合」で、ホークスが2月26日に対戦するのが、「2026 WORLD BASEBALL CLASSIC™」の台湾代表だ。今回は、交流試合のメンバー構成、注目選手、見どころなどをご紹介しよう。
2月6日に発表された台湾代表30人。前回大会も選出された投打の有力候補のうち、一部の選手は辞退したものの、「史上最高の顔ぶれ」との評価が少なくない。
CPBL(台湾プロ野球)の蔡其昌コミッショナーが渡米し説得したかいもあり、メジャー通算18本塁打の外野手スチュアート・フェアチャイルド(ガーディアンズ傘下)、カブス3Aで昨季20本塁打の内野手ジョナソン・ロングという、2人の台湾系アメリカ人の招集に成功した。これに、CPBLの主力、NPB所属選手、MLB傘下の若手プロスペクトらが揃った陣容は、現状のベストメンバーに近いといえる。
これまでのコラムでも言及した通り、台湾は高校生の有望株が卒業後、直接海外球界に進出する傾向がある。その為、今回もメンバー30人中、実に半数近くの14人、投手に至っては16人中9人が日米の球団所属と、いわゆる「海外組」になった。
「海外組」のうち、MLB球団所属の選手は現在、各球団のキャンプに参加しており、台湾代表への合流は、おおむね3月2日、3日の強化試合(宮崎)の直前となる見込みだ。
一方、5人選出されたNPB球団所属の選手のうち、古林睿煬、孫易磊(ともに日本ハム)、張峻瑋(ソフトバンク育成)の3人は、旧正月休み明けの19日、2次合宿のスタートにあわせ合流した。ちなみに林安可(埼玉西武)は25日に帰国、注目の徐若熙は、今回の交流試合はホークスの一員として出場し、その後、代表に合流する予定といわれている。
こうした中、今回の「2026年台日野球国際交流試合」でホークスと対戦する台湾代表は、CPBL所属選手を主力とし、ここにNPB組やサポートメンバーが加わる形だ。
MLBのプロスペクトは出場しないが、メンバーは十分に豪華。前回2023年のWBC、優勝した2024年のプレミア12、昨年2月のWBC予選の各代表に、CPBLのタイトルホルダーらオールスター級の選手が揃った。
なお、台湾内で開催される交流試合ということで、台湾代表は、本大会とは異なる「TEAM TAIWAN」のユニフォームを着用する。日本では目にできないこちらのユニフォームにも注目だ。
ホークスファンの皆さんに、投打から一人ずつピックアッププレーヤーをお届けしよう。ムードメーカーで笑顔がまぶしい頼れるリーダー(選手会長)という点では、栗原陵矢選手と重なるのが陳傑憲(統一)だ。
2023年WBC以降の主要大会ではいずれも代表入りし、かつキャプテンをつとめている陳傑憲。2024年のプレミア12では、決勝のダメ押し3ランを含め24打数15安打2本塁打6打点、打率.625の大活躍でMVPを受賞、国民的スターになった。打席に入る際の丁寧なお辞儀、爽やかな笑顔が印象に残っている方もいらっしゃるだろう。
高校から岡山県共生高校へ留学、一つ先輩には吳念庭(台鋼)がいた。NPB入りを目指したが指名漏れし帰国、一度は安定を求め、名門社会人野球チームでプレーしたが、指導者であった父の希望通り台湾プロ野球入りを決断した。ショートを断念し、外野手に転向する挫折も経験したが、リーグ屈指のヒットメーカーとして花を咲かせた。
昨季は手首のケガの影響もあり、規定打席に満たず、打率も初めて3割を切ったが、オフは日本でトレーニングを積み、コンディションは問題ないという。「プレミア12優勝はプレッシャーにはなっていない。また、新たな戦いが始まった。いかにして、今回集まった素晴らしいメンバーをまとめていいチームをつくっていくか。その事しか考えていない」といい切った。
台湾代表にも、杉山一樹投手同様、昨季、リーグ最多登板でセーブ王を獲得、しかも落ち球を武器とするクローザーがいる。それが、昨季、プロ3年目でクローザーに抜擢され、伸びのある直球と大きく沈むチェンジアップを軸に、セーブ王と新人王に輝いた林詩翔(台鋼)だ。
南東部・台東県の中学を卒業後、一度は北部・桃園市の強豪、平鎮高校に進学も、一学年上に古林睿煬(北海道日本ハム)、同期に徐若熙(ソフトバンク)、一学年下に李晨薰(ジャイアンツ傘下)を始め、超高校級の投手陣を擁していた。
懸命に練習をつんだものの、細く小柄で球速も遅いサイドスローにチャンスは与えられなかった。高2の冬休み、東部・花蓮県の玉里高校に転校。すると身長が一気に伸び、オーバースローに戻したことで飛躍のきっかけをつかんだ。
出場機会を求め地方の私立大に進学すると、一年生からエースに。苦しい家計を助ける為、練習後にアルバイトをするタフな日々を送ったが、プロになる夢は諦めなかった。2022年、大学3年で初挑戦したドラフトは指名漏れ、さらに翌年、大学が募集停止となる不安定な状況の中、プロ野球チームの練習に参加したり、社会人チームの一員としてプロアマ交流戦でアピールしたことで、2023年、自身2度目のドラフトで台鋼から6位で指名を受け、会場で歓喜の涙を流した。
翌2024年は中継ぎとして30試合に登板。オフに直球の回転数を高め、チェンジアップの制球を磨いて臨んだ昨季は、前年のクローザー、吉田一将(前・オリックス)の先発転向を受け、横田久則投手コーチから「空振りが取れる」と抑えに任命された。すると、リーグトップの60試合に登板、5勝(5敗)、6ホールド、30セーブ、防御率1.79の大活躍でセーブ王。新人王にも輝いた。
WBC代表入りを果たした事で注目度は上昇中、「MLBネットワーク」のジョン・モロシ記者は林詩翔のチェンジアップを、MLB通算601セーブのトレバー・ホフマンの決め球になぞらえ絶賛した。
台湾球界は「少数精鋭」で、幼少時代からエリート街道を進んできた選手も少なくない。主要国際大会の代表メンバーとなるとより顕著なだけに、林詩翔の活躍は、多くの選手を勇気づけていることだろう。
このほかの注目メンバーも挙げていこう。WBC前回大会のベストナイン、元メジャーリーガーで昨季は65試合で14本塁打の張育成(富邦)、打点王(86打点)、リーグ2位の24本塁打のギリギラウ・コンクアン(味全)は主砲候補、その華麗な守備はNPBでも通用すると言われるショートの江坤宇(中信兄弟)はセンターラインを引き締める。元NPB勢では、昨季、首位打者に輝いた「得点圏の鬼」吳念庭(台鋼)、頼れるリリーバー「チェンチェン大丈夫」陳冠宇(楽天)、復活を遂げた張奕(富邦)など、おなじみの顔も代表入りした。
そして、ホークスではまだ一、二軍での登板はないが、曾豪駒監督が「強心臓」と評価するメンバー最年少、20歳の張峻瑋の登板にも期待だ。高校の大先輩で、チーム最年長35歳の陳冠宇からは、自身が20歳の時のエピソードを打ち明けられ、激励されたという。今回、徐若熙はホークスの一員として登板予定である中、ホークス所属の両右腕の投げ合いが見られるかもしれない。
2月21日から28日まで、8日間で5試合の練習試合を行う台湾代表にとって、「日本一」メンバーが多数出場するホークスとの交流試合は最も重要な試合となるだろう。両チームにとって収穫のある戦いとなることを期待したい。
ちなみに、この試合を盛り上げるのが、台湾代表専属チアリーダーの「CT
AMAZE」だ。こちらも、CPBL全6球団から6名ずつ、精鋭36名のみが集められた「ドリームチーム」だが、東京ドームのWBC本大会に進めるのはうち12名のみ。「代表争い」に注目だ。
文:駒田 英
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駒田 英(こまだ えい)
大学卒業後、一度は一般企業に就職も、台湾及び台湾野球への関心が高じて2006年に来台。語学学校を経て大学院で翻訳を専攻。卒業後、政府系国際放送局の日本語放送パーソナリティとなり、以降スポーツ番組は15年にわたって担当。
ソフトバンクが出場した2011年のアジアシリーズから取材をスタート、同大会での「韓国プロ野球の伝え手」室井昌也氏との出会いがきっかけとなり、2015年、『台湾プロ野球〈CPBL〉観戦ガイド』に執筆者の一人として参加、以降、昨年まで全4冊の制作に関わった。
永住権取得後はより活動範囲を広げ、台湾プロ野球のほか、WBCやプレミア12、アンダー世代を含めた各国際大会で台湾代表を取材。『パ・リーグインサイト』等、日本メディアにも寄稿している。
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