田上秀則選手は「ミラクル」の流れを感じていました。延長12回裏2死二塁の場面、「流れ的には打てそうな気がする」と思いながら打席に向かいました。
2球目、甘く入ったシュートを見逃しませんでした。打球は右翼手の頭上をはるかに越えていきました。野球人生で初めてのサヨナラヒット。駆け寄ったチームメイトの中心で手荒い祝福を受けました。
「痛かったですけど、気持ちよかったです」。
殊勲打を放ったものしか味わうことができない喜びを体中で感じていました。

この日（3月24日）放った3安打はすべてタイムリーヒット。どれもが意味のある打点でした。1本目は2回裏の先制打。直前に1塁走者が牽制死する悪いムードを払拭した1打でした。2本目は延長10回裏に土壇場で同点に追いつくタイムリー。カウント2－1と追い込まれていましたが、見事にライト前にはじき返しました。豊倉孝治チーフスコアラーは、「田上は追い込まれたら打撃を変えることができるから」と賛辞を送っていました。

これで開幕4連勝。その3つがサヨナラ勝利という劇的な結末です。今年は何かが違う、と感じている方は決して少なくないはずです。

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