


打ったヒーローが、勝利を確信し両手を突き上げる。ベンチからは笑顔で飛び出してくるナイン。そして、沸き上がる本拠地のスタンド……。そんな劇的な光景を待っていた。
7月13日(金)、マリーンズ戦(ヤフードーム)。今季81試合目で初のサヨナラ勝利を決めました。殊勲打を放ったのは松田宣浩選手。3対3で迎えた10回裏無死一、二塁で、レフト線へ強烈な打球を運びました。
「打った瞬間に抜けたと分かりました。『やった!』という感じで両手を挙げました。最後まで残ってくれたファンの皆さんの前で打てて、ホントに嬉しいです」
お立ち台では大興奮。いつもの「1、2、3、マッチ!」のパフォーマンスに加えて、博多の街では伝統的なお祭りである「博多祇園山笠」がクライマックスを迎えていることもあり、「おいさー!」の掛け声でもヤフードームのファンを沸かせました。
しかし、打席での松田選手は、これとは真逆の冷静さを見せていました。
先頭の明石健志選手が出塁し、続く本多雄一選手は送りバントの構えを見せていました。「1アウト二塁で回ってくると思っていました」。しかし、本多選手も四球。ここで相手ベンチが間をとってマウンドに集まったことで、「しっかり考える時間ができた」と松田選手。
「ノーアウト一、二塁。一番ダメなのはゲッツー。そして、ボール球に手を出してフライを打ち上げること。なので、ボールを見てじっくり攻めていこうと思っていました」
2ボール0ストライクとなり、ここが勝負どころ、と「いくしかない。気持ちを引き締めていきました」という一振りが勝利を呼び込みました。
「ここまでサヨナラがなかったのは遅い。でも、シーズンでサヨナラ勝ちがないなんてことはないでしょう。まずは一度目を決めることができてよかった。球宴前の残り5試合を全部勝つ。その気持ちで戦っていきたい」
まさに勢いのつく勝利。真夏の逆襲は、ここからです。