


ありがとう――感謝のアーチがヤフードームに舞った。しかも2発だ。
9月30日(日)のファイターズ戦(ヤフードーム)は4対1の快勝でした。全打点をマークしたのはキャプテンの小久保裕紀選手。1点を追う3回に左翼ポール直撃の3号逆転2ランを放てば、5回に回ってきた続く打席でも左中間スタンドへ4号2ランを運びました。本拠地ヤフードームでのホームランは今季初。そして2打席連続弾は2009年8月13日のイーグルス戦(Kスタ宮城)以来。さらに、この広いヤフードームに限れば、ダイエー時代の2002年4月3日以来、10年ぶりという出来事でした。
「ありえんな!ありえへん、2本も!」
さすがの小久保選手も興奮を隠せません。1本目では本塁打を確認すると思わず両手でバンザイ。一塁を回ってさらに大きくガッツポーズをしました。「サヨナラ本塁打でもないのに、ガラにもなくはしゃいでしまった」と苦笑い。
「8月14日に引退表明した後、何とかこのヤフードームで1本打ちたいと思っていた。でも、今年はずっと打てなくて、正直、半分諦めとった」
2本目は笑顔を見せつつも少し冷静にベースを回りましたが、「嬉しかったのは1本目の方。でも、2本目の方が僕らしい。左中間に打つというやり方でずっとやってきたから」と目を輝かせながら話しました。なにより、ヤフードームを包む物凄い大歓声が、小久保選手にとって一生忘れられない宝物になりました。
「もともと今日がホーム最終戦だったし、そのつもりでチケットを買って見に来てくれたファンの皆さんにホームランを見てもらえて良かったです。ずっと応援してくれた福岡のファンの前でホームランを打ちたかった」
ここ最近では練習のフリー打撃でも「(スタンドに)入らなくなった」といいます。
「それが2本でしょ。野球の神様の存在を感じる。これまでも何度かあったけど、今日もそうでしょう。俺の力じゃないよね」
ヤフードームでのレギュラーシーズン公式戦は10月8日(月・祝)の最終戦のみ。例年、最終戦ではセレモニーなどを行う関係でヒーローインタビューは行っていません。なので、この日が現役最後の、ペナントレースでの公式戦お立ち台のチャンスでした。
「それも野球の神様だよね」
今季、2000本安打の金字塔を打ち立てた時と変わらないほどの大歓声を浴びながら、小久保キャプテンの胸の奥はさらに熱くなっていました。