歓喜のビールかけは、リーグ優勝に続いて長谷川勇也選手会長の掛け声からスタートしました。


まず会場に工藤公康監督やコーチをはじめ選手やスタッフらが大集合。壇上では最初に後藤芳光球団社長兼オーナー代行が挨拶をし「調整は難しかったと思いますが、終わってみれば素晴らしい戦いを見せてくれました。日本シリーズも一気に駆け上がって日本一をとりましょう」と声を上げると、王貞治球団会長も「みんなおめでとう。ペナントも本当に強かったし、このCSも印象に残る勝ち方をした。各人が相手投手や打者にいかに勝つかを考え、年々みんな力をつけている。日本シリーズも自信を持って戦ってほしい」と祝福の声を上げると、ナインも威勢のいい声を上げていました。
さらに工藤監督も「突破率が0%と書かれて、すごく悔しい思いをした。勝ってくれてみんなに感謝をしたい。日本シリーズも勝って、もう一回ビールかけをしよう」とまた最高の笑顔を見せていました。
そして長谷川選手会長も「CS突破率0%、覆してやりましたよ!」と喜びを爆発させ、「ナンバーワン、ワンダフルホークス、うーワンダホー!」の掛け声とともに歓喜のビールかけがスタートしました。
用意されたビール3000本、コーラ480本と日本酒4樽+一升瓶60本(140本相当)が一気に噴き出され、約20分ですべて空っぽになりました。
ヤフオクドームのプレスカンファレンスルームにてCS優勝共同会見が行われ、工藤公康監督、内川聖一キャプテン、サファテ投手の3名が出席しました。

工藤監督
――胴上げの時のお気持ちは?
「最高に幸せでした」
――リーグ優勝時は涙がありました。今回は笑顔。違った心境でしたか?
「このCSは非常に苦しいところから始まりましたが、本当に選手がよくやってくれたという思いでいっぱいです。2つ負けたところからよく盛り返してくれました。選手たちの強い思いが伝わってきました。これこそ一丸となってというのが、すごく試合の中でどんどん盛り上がってきて、すごいプレッシャーの中だったと思いますが、打ち勝って相手に向かっていってくれたなと思いました」
――連敗した時の率直なお気持ちは?
「正直、これはヤバいなという雰囲気もあったんですけど、それは表に出すものではないと思っていました。なにか自分に出来ることはないかと考えた時に、円陣の輪の中に入って『とにかくバカになった野球をやろう』『騒いで野球をやろう』ということを選手に伝えた。僕自身もそうならないといけないなと思った。野球は9回2アウトからでもゲームセットの声を聴くまでは分からない。最後までガムシャラになって、となったときにみんながそのようにやってくれたので、本当によく頑張ってくれたと思います」
――監督の考える分岐点は?
「1点差で勝ち抜いた(第4戦)のが大きいとおもいます。シーズン中もそうでしたが、1点差を守りきるといううちの野球が出来た。それで落ち着いて野球が出来るようになったし、それで本来の姿を取り戻せたのもあったと思う」
――采配もズバリ的中しました。
「それは、達川ヘッドコーチをはじめ、打撃コーチや守備コーチと話しをして決めていったので、私だけではない。みんなが代えるべきところは代えて新しい力を入れたらどうかと。みんなで決めたことです」
――調整の難しさもあった中でしたが、次は日本シリーズがすぐそこです。調整のイメージは?
「調整は…、とりあえず明日は休みです。その次は、これから考えます(笑)」
――意気込みを。
「とにかく日本一になること。この1年間強い思いを持ってここまで来たので、みんなで一つになって日本一をめざし、相手のチームに負けない気持ちを持って目指していきたい」
内川選手
――クライマックスシリーズMVPおめでとうございます。
「ありがとうございます」
――3度目になりました。今回のMVPはどんな思い?
「今回はレギュラシーズンの終盤に怪我があって、チームにいることが出来ない期間が長かった。リーグ優勝して、このようなチャンスをチームの皆さんが作ってくれた。結果で皆さんに恩返しをしたいと考えていた。それにトレーナーや病院の先生などたくさんの支えがあって、ここに今立てている。その感謝も込めてやろうと思っていた。みんなに獲らせてもらったMVPだと思う」
――4試合連続本塁打、この日は先制犠牲フライもありました。活躍の秘訣とは?
「それが分かっていれば、もっとシーズン中も打てると思います(笑)。はっきりした原因は分からないですが、とにかくチームの流れが良くない時には変えてやろうと思っていたし、今日の先制点は打てばチームが勢いに乗ってくれると思っていた。ただ、みんなに乗せられて打った面もあると思います」
――連敗の時はどのように?
「監督が先頭に立ってくれて円陣に入ってくれたのは心強くてありがたかった。監督が姿勢を示してくれたことで、よしこうやるぞという思いになれた。また、初戦負けた時点で(突破率)0%だとどこを見ても書いてあった。それを変えるしかないと思った」
――歴史を変えましたね
「その一員としてホークスにいられたことを誇りに思いますし、みんなの力だと思うのでみんなで喜び合いたいと思います」
――日本シリーズに向けて。
「今日はまだ段階を一つ上がっただけ。去年負けた時点から『日本一を目指してやるんだ』と監督もずっと言われていたこと。その日本一に向かっていきたい。少しリフレッシュする時間もあるし、チェックをする時間もある。しっかり日本一に向かっていきたい」
サファテ投手
――2度目の胴上げ投手になりました。
「これ以上ない思いがありました。みんなが駆け寄ってくる笑顔、喜びを感じるだけで、春のキャンプからやって来たことが成し遂げられたと感じた」
――回またぎもあった起用でした。
「シーズンとは違ったが、しっかり準備をしていた。監督から行けと言われたところで結果を残すのは自分の仕事。最初の2戦が終わって、みなさんどうしたんだ?と思われたかもしれませんが、こうやって自分たちの試合が出来れば結果はついてくると思ってやっていました」
――ブルペン陣は無失点でした。
「(日本語で)ソウデスネ。本当にすごい仲間たちだと常に思っている。それがまた証明できた。また日本シリーズでもバトンを渡されたら、同じような結果でいきたい」
――今日は結婚記念日らしいですね。
「昨日は娘の誕生日だったし、今日は結婚記念日。そのような日に勝利が出来たのは嬉しい。家族のサポートなしではこのような仕事は出来ていない」
――日本シリーズへの意気込みを。
「まだ相手は決まっていないけど、しっかり調整をしてチャンピオンになれるように頑張りたい」
CS優勝!工藤監督、笑顔「幸せ。みんなに感謝」
2年ぶりのCS優勝を決めました! 2連敗スタートという苦しい戦いとなりましたが、第3戦から見事な3連勝。胴上げ投手はやはりサファテ投手。ウィニングボールは松田宣浩選手がフライをがっちりと掴みました。
マウンドには歓喜の輪。そして工藤公康監督が7度、宙に舞いました。続いてこのCSで4本塁打を放ち、この日も先制の犠牲フライで勝利に大貢献した内川聖一選手も5度胴上げされました。内川選手は自身3度目のとなるCSファイナルMVPに輝きました。
優勝監督インタビューでの工藤監督。「本当にうれしいです」と満面の笑み。リーグ優勝で見せた涙はこの日はなく、最高の笑顔を絶やすことはありませんでした。
「この福岡の地で胴上げしていただいて、こんなに幸せなことはない。このヤフオクドームで勝つ姿をファンの皆さんに見ていただきたいと思いながら、このCSを戦っていました。選手のみんなに本当に感謝です。みんな、ありがとう」
奮闘してくれた選手たち、ともに頭をフル回転して采配を振るったコーチ陣、陰で支え続けたスタッフ、そしてレギュラーシーズン中以上の大声援を送ってくれたファンの皆さんへの感謝の思いを何度も口にしていました。
また、第5戦では復帰したばかりの柳田悠岐選手を起用。先制のホームを踏み、追加点のタイムリーも放ち、見事に積極差配が当たりました。「福岡のファンの方も燃えると思った。その意味での起用もありました。本当に打ち始めると止まらないというくらいでした。とにかくベンチでは、みんなが元気になるように勢いづけることだけを考えていました」と振り返りました。
連勝が始まった3戦目。工藤監督が動きました。通常加わらない試合前の円陣の輪の中で声を上げました。
「ホークスは明るく元気でハツラツをしたプレーが持ち味。もう一度思い出して、バカになって野球をやろう」
ベンチでみんな声を精一杯張り上げて、喜びも表に出しました。「声が枯れるまで、みんなが声を出してくれた」。連敗スタートを喫した時には「突破率0%」とも言われましたが、「みんながこんなところで終わってたまるか、とチカラを出してくれた」。その意地が、ホークスの底力をよみがえらせました。
「日本シリーズはパ・リーグの代表として戦い、100%以上の力を出して、1つになって日本一を目指したい。日本一しか考えていません。日本一になってまた胴上げしてもらいたいです」
2年ぶりの日本一を目指す「SMBC日本シリーズ2017」は10月28日(土)に、パ・リーグ本拠地のヤフオクドームからスタートします。
CS突破決めた!いざゆけ、日本一奪回へ


日本一奪回に向けて、まず、大きな扉をこじ開けました。
10月22日(日)、「2017 ローソンチケット クライマックスシリーズ パ ファイナル」(以下CS)第5戦、7対0でイーグルスに勝利して、今シリーズ4勝2敗(アドバンテージ含む)でホークスの「SMBC日本シリーズ2017」進出が決まりました。
まさかの連敗スタートという苦しい中、第3戦から大きく流れは変わりました。同点の8回に中村晃選手が決勝の勝ち越し2ランホームラン。2戦目まで不振にあえいだ男が意地の一振り。チームメイトの祝福、超満員のファンからの大歓声に、「仲間がいると改めて実感した」と思わず感極まった表情を見せました。中村晃選手は4戦目にも勝ち越しの決勝弾を放ち、連日のヒーローになりました。
そしてホームランといえば、内川聖一選手も連日の大爆発。初戦からホームランを積み重ね、レギュラーシーズン終盤に離脱したうっ憤を自らのバットで払しょくしてみせました。
投手陣も、特にリリーフ陣が快投を見せ、ホークスの得意な形である終盤の強さを相手に見せつけました。
歓喜の瞬間が訪れると、工藤公康監督が本拠地ヤフオクドームのグラウンドで宙に舞い、誰もが笑顔になりました。
しかし、本当の歓喜は、もう少し先にあります。
合言葉は、日本一奪回!!
昨年、3連覇を逃したその瞬間からそれだけを信じて、選手たちはオフの間から苦しく厳しい練習に耐え、長いシーズンの大激戦を乗り越えて、ついにここまでやって来ました。
「SMBC日本シリーズ2017」は10月28日(土)、ヤフオクドームでスタートします。今年3度目の胴上げのために、ホークスナインは力を振り絞って戦い抜きます。
2017年10月22日掲載
田尻 耕太郎(スポーツライター)