


【6月30日(日) ホークス7-3ライオンズ 西武ドーム】
ヒーローは終えると、誇らしげに胸を張りスタンドへ大きく両手を振った。真っ黒に日焼けした顔。それと対比するようなユニフォームの白、そして胸の大きな「Daiei Hawks」のロゴもまた堂々と映った。
この「初代・福岡ダイエーホークスユニフォーム」で戦っていた最中、1990年に生まれた東浜巨投手がチームの救世主となりました。6回3失点で見事今季初勝利をマーク。先発ローテ入りにも大きく前進しました。
「ずっと2軍で調整する日々を送っていたので、何としても勝ちたかった」。4月3日以来の1軍マウンドで躍動しました。立ち上がりから全身に力を込めて右腕を振り抜きました。直球は自身1軍で自己最速となる147キロを計測しました。勝負どころは、勝利投手の権利がかかった5回裏。1点を失い、なおも2アウトから二塁打とフォアボールでピンチを招きました。バッターは相手の代打の切り札、長距離砲の中村選手。この場面、勝負球に選んだのはインハイを強きに突くストレートでした。
2軍で鍛える日々の中、山内孝徳ファーム投手チーフコーチは東浜に「内角攻め」の重要性をずっと説いてきました。「俺は140キロも出なかったピッチャー。それでも100勝できたのは内角を攻める投球術を持っていたから。オマエは俺よりはるかに素晴らしい能力を持っている。俺が100勝なら、オマエは軽く200勝できる」。カウント2-2から141キロの内角高め。中村選手のバットは空を切りました。
若鷹の奮投に打線も強力援護。クリーンナップの柳田悠岐選手と李大浩選手はともに猛打賞。柳田選手は2本のタイムリーで今季打点を「42」として自己記録も更新しました。そしてトドメは松田宣浩選手の豪快なひと振り。一挙5得点を奪った3回の猛攻、13号3ランで花を添えました。自身45日ぶりの一発に「最高」と満面の笑み。亜細亜大学の後輩である東浜投手にも最高のプレゼントとなりました。
復刻ユニフォームシリーズで初勝利を掴み、勢いを取り戻したホークス。7月の戦いは「カチドキレッド2014」の鷹の祭典ユニフォームで臨みます。燃える赤を身にまとい、いざ首位奪回へ突っ走ります。
2014年6月30日掲載
田尻 耕太郎(ホークスオフィシャルメディア)
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