


【10月24日(土) SMBC日本シリーズ第1戦 ホークス4-2スワローズ】
<今日の熱男 松田宣浩選手=貴重な先制点となる自身日本シリーズ1号弾>
緊張感たっぷりの日本シリーズ初戦。そのムードを振り払い、ホークス打線に火をつけたのはやはり「お祭り男」のバットでした。両チーム無得点で迎えた4回裏、松田宣浩選手が左中間スタンドへ先制のホームランを放ちました。
「高めの球を狙っていこうとみんなで話していました。実際に打ったのは少し低めの変化球でしたが、しっかりボールは見えていたし上手く拾うことができました」
工藤公康監督は「あのホームランがみんなを軽くしてくれた。(重圧から)解放してくれた」と、試合後のベンチ裏で開口一番話しました。
その言葉どおり、中村晃選手、吉村裕基選手、今宮健太選手、高谷裕亮選手(タイムリー)、川島慶三選手(タイムリー)と松田選手から6打者連続でヒット。この回一挙に3点を挙げて先発の武田翔太投手を強力に援護しました。また、ホークス打線はこの試合先発全員の15安打をマークしました。
武田投手は初回こそ2安打を許してピンチを背負いますが、「今日は上手く力を抜くことが出来た。指にかかるボールが投げられた。今年の中でもベストに近い」と手応え十分の投球で、1回2アウトから8回2アウトまではノーヒットに抑える快投。最終回に2点を失いましたが、最後まで投げ切り完投勝利。ホークスでの日本シリーズ完投勝利投手は、2003年第7戦の和田毅投手以来となりました。
「力を抜いたというと怒られるかもしれないけど(苦笑)。でも、とりあえず力は抜く。気を抜くんじゃなくて、力を抜くんです」と改めて説明してくれました。
そして、お立ち台に立った松田選手の手には赤い手袋がしっかりと握られていました。この試合前、まさかの内川聖一キャプテンの骨折の報せが飛び込んできました。チームは練習後、選手だけロッカーに全員が集まりました。そこで内川選手が事情を説明。暗いムードになってしまいがちですが、松田選手を中心に「誰よりも悔しいのは内川さん。一緒に戦ってきたいチームメイトだし、日本シリーズの舞台には立てなくても一緒に戦うことには変わりはない」と逆に一致団結。松田選手は内川選手のロッカーから手袋を拝借し、ユニフォームのズボンのポケットに忍ばせてこの試合に臨んでいました。
「僕が怪我をして離脱した時、内川さんが僕の手袋を入れて試合をしてくれた。嬉しかった。だから、僕も」
手袋を持った右手を高々と上げて、お立ち台で叫んだ「内川さん、見てましたか!」の言葉は、しっかり届いたはずです。