「最高です!うれしいです」。 7月16日(水)ライオンズ戦(ヤフードーム)。初体験から、まさかの2日連続で立ったお立ち台。高谷裕亮選手の顔は興奮で紅潮していました。試合時間は4時間57分、両チーム合わせて43人が出場した大激戦の主役でした。 波乱の予感は立ち上がりからありました。予告先発のガトームソン投手が試合直前に故障し、高橋秀聡投手が「試合開始の5分前に言われて」急きょ先発マウンドに立ちました。マスクを被る高谷選手も「ビックリした」が、それでも「投手をリードする捕手が動揺してはいけない」と好リード。さらに5回表にはパ・リーグ盗塁王の片岡選手を含む2つの盗塁を刺す強肩も見せて、序盤はスコアボードにゼロを並べました。 均衡を破ったのもやはり高谷選手でした。5回裏、ライトスタンドへ会心の一撃。プロ入り初ホームランです。「まさか入るとは思わなかったけど、何とかしたい気持ちでした」。気持ちの乗った高谷選手は守備でもハッスルプレーを見せます。8回表にはファウルフライを追いかけそのまま1塁側ベンチに飛び込むハプニング。しかし、ボールは離しませんでした。 土壇場に追いつき、そして12回裏。2死一、三塁という最高の場面で打席が回ってきました。 「ずっとピッチャーが辛抱して投げてくれた。とにかく積極的に行こうと思いました」。 初球を振り抜くと、打球は一、二塁間を鋭く抜けていきました。プロ初のサヨナラヒット。それを確認すると、誇らしげに右手を高々と突き上げました。 敗戦寸前からの大逆転、ニューヒーローの誕生、しかも相手は首位のライオンズ。これ以上ないような最高の連勝で、首位とのゲーム差は3に縮まりました。 |