3月25日(火)マリーンズ戦(ヤフードーム)、大隣憲司投手が今季初登板でプロ初の完投勝利を飾りました。9回表、最後の打者からこの日12個目の三振を奪うと破顔一笑。お立ち台でも、ベンチ裏でも笑顔が絶えることはありませんでした。 大隣投手は普段から笑顔の多い選手です。さらに関西出身ということもありよく喋ります。「お笑いキャラ」でチームの人気者です。 しかし、その笑顔の裏には秘めた闘志がありました。即戦力ルーキーとして期待された昨季は故障に泣かされて2勝4敗という悔しいシーズンになりました。プロ2年目になり「今年こそは」という言葉を、何度も何度も口にしていました。 また、昨季はルーキーということもあり、いつも多くの報道陣に囲まれて話題の中心にいましたが、今年のそれは大場翔太投手。さらに2人は大学時代から親交があるため、大場投手に関する質問をされることもしばしばでした。 昨年の11月でした。ドラフト会議で「先輩と後輩」の間柄になることが決まり、やはり大場投手のことについて聞かれました。すると大隣投手はそっと笑みを浮かべて答えました。 「負けないでしょ。負けたくない。弱気になる必要もない」。 彼のプライドを垣間見た瞬間でした。ただ、それは大場投手の実力を認めているから出た言葉でもあります。宮崎春季キャンプで同じユニフォームに袖を通すと「存在は意識しますよ。いい刺激になっています。彼には自分のようになってほしくない。そして、ライバルだと思っています。僕も活躍できるように強い気持ちで頑張ります」と話していました。 その「後輩」は23日(日)のイーグルス戦(ヤフードーム)で完封勝利を達成しました。 「正直、悔しい気持ちもありました。まだ僕のやっていないことを先にやられたわけですから」。 この日は1点こそ失ったものの、負けないくらいの素晴らしい投球でした。 強い気持ちやプライドだけではこの世界を生き抜いていくことはできません。大隣投手は確かな結果を残しました。至高のライバル関係がここに誕生しました。ホークス黄金時代の再来を予感させる瞬間でもありました。 |