


柳瀬明宏投手が3年ぶりの一軍登板で復活のホールドを記録しました。
6月13日(水)のドラゴンズ戦(ヤフードーム)。1対0の緊迫の投手戦で迎えた、7回2死二塁の場面でマウンドに上がると、最初の打者に四球を与えてもまったく動揺することなく、続く高橋周選手から見事空振り三振を奪ってピンチを脱しました。試合はそのままホークスが逃げ切り、ヤフードームでは5月23日(水)以来の勝利を果たしました。
温かな声援が励みになった。「僕のことを覚えているのかなと思ったけど、マウンドに上がるときに拍手と歓声が聞こえた。本当に嬉しかった」。初球は144キロのストレート。珠のキレと力強さはあの頃と変わっていませんでした。
柳瀬投手はプロ1年目の2006年にプレーオフ(現クライマックス・シリーズ)で2勝を挙げる活躍。翌年には44試合に登板して貴重な中継ぎ右腕として存在を示しました。しかし、その後2度の右ひじ手術。2度目は右ひじのじん帯再建手術で1年近いリハビリ期間を要しました。それもあって10年オフに育成選手として再契約。今年6月7日(木)に支配下登録されたばかりでした。
「たくさんのお客さんの前で投げたのは久しぶり。もっと緊張すると思っていましたが、それほど緊張することもなくマウンドに上がることができました」
それでも、空振り三振をとった直後に見せた渾身のガッツポーズは「あまり覚えていない」と言います。それだけ強い想いを込めて、集中して投げていました。
お立ち台では目が潤む場面もありましたが、涙がこぼれないようにぐっと我慢をしました。
「この2年間、本当につらいこともあった。手術をして1ヵ月間はギプスが取れず、その後も曲がらないし伸ばすこともできないし、まるで自分の腕じゃない感覚でした。また投げられるのか不安になったこともあります。やっと、このマウンドに立てましたが、まだ1アウトしかとっていません。もっともっと投げたい。これがスタートです。これからもピンチの場面でチームを救いたい」
7年前の入団会見でも、「僕はチームが苦しい時に使ってもらえる投手になりたい」と語っていました。諦めることなく前に進んできた右腕。胸に抱き続けた想いを、また叶えられる場所に戻ってきました。