


【5月1日(水) ホークス3-1ライオンズ ヤフオクドーム】 お立ち台の上から眺める、7年ぶりの景色。マイクを持って「ただいまー!」と叫ぶと、360度すべての方向から「おかえりー!」の声が飛んだ。
「あんなに大きな声で(スタンドから)言ってもらえるとは思わなかったので嬉しかったですね」
寺原隼人投手が8回1失点の快投で、ホークス復帰初勝利を挙げました。ホークスの一員として勝利投手になったのは2006年7月16日のファイターズ戦(ヤフードーム=名称当時、完封勝利)以来です。
「前回が不甲斐ないピッチングだった。今日は『超!』全力で、気合を入れていきました」
前回登板(4月24日、ファイターズ戦)が4回途中5失点と悔しい結果。ツーシームに頼り過ぎていた、とその後振り返りました。この日はツーシームをあえて封印。最速150キロの力強いストレートに加えて、カットボールやスライダー、カーブを駆使して緩急で勝負に行きました。
そして、「昔、ホークスにいた頃のイメージを払しょくしたい」と語っていたように、ただ力任せに投げるのではなく、球を低めに集めて24アウト中13個を内野ゴロで取りました。
「こうやって腕を振って投げる。これがピッチングですね。この前はピッチングとは言えないものでした」
試合後のヒーローインタビューでは満面の笑顔だったのが、家族の話になると突然感情がこみあげてきました。
「泣いてないですよ。ゴミが入って、急に(笑)。でも、家族とか息子とかのワードはね。昨日(登板前日)に自分で話をして新聞にも書いてもらったんですが、やっぱり、ね」
FA移籍のプレッシャーの中、出遅れた悔しさ。そして、小学校2年生の息子には「転校したくない」と泣かれたといいます。
「いろいろなことを考えちゃいました」
しかし、それもこの日まで。「次の目標?また勝つことです」。勝ち続けてこそ、信頼は得られるもの。今季でプロ12年目。寺原投手の真価は、これからますます発揮されていくはずです。