プロ野球史上51人目となる通算2000本安打の大偉業を達成した内川聖一選手。5月9日(水)のメットライフドームでのライオンズ戦は「一生忘れられない」と感無量の表情を浮かべていました。
試合後、メットライフドーム内にて2000本安打達成の記者会見が行われました。以下一問一答です。
「えー、まあ打ててホッとした。全身の力が抜けました。ホッとしました」
「名球会に入る資格を得ただけです。肩を並べたと思っていません。ここで終わりじゃない。これから先、まだ頑張りたい。僕から見ると憧れの先輩方ばかりなので、肩を並べることは一生ないと思います」
「明日移動日で休みの予定だったので、打てなかったら一日悶々として過ごさないといけないなと思っていた(笑)。千葉で残り2本になってから、今日見られると思ってスタンドに足を運んでくれたお客さんたくさん居たと思う。地元福岡でも3試合あったけど上手くいかなかった。早く2000本達成したいという気持ちでした。それに監督やコーチも、残り1本になってからずっとベンチで立って応援してくれた。14打席もヒットが出ず、立ったり座ったりさせてしまった。早く打っていつも通り応援してほしいと思っていました(笑)」
「選手のひとりとして、チームに迷惑を掛けるのが苦しい事でしたし、4番という打順も打たせてもらっていたので、2000いう数字よりもいい流れを作れない苦しさがあった。一、三塁をチャンス拡げられたのと、2000本安打を達成した両方の喜びがありました。そしてホッとしたのが正直な気持ちでした」
「早く達成しないと父の仕事に影響が出るなと思っていたし、弟も千葉の試合からずっと来てくれていた。仕事よりもそちらを優先して来いと(職場で)言われたらしいけど、早く達成しないといろんな人に迷惑を掛けるなと思っていた。一大イベントが終わったなという感じ」
「僕の野球を一番長く見てくれているのが父だと思う。高校時代も父の教えのもとでずっとやっていた。父の教え子としてプロになれたのもうれしかったけど、2000本という区切りのヒット生で見てもらえたのは親孝行になったかな。心配ばかりかけてきた。プロで今までいろんなタイトルも獲らせてもらったけど、最高の親孝行になったと思う」
「自分が自分じゃないような感覚でした。今まで気を抜けていた場面でもカメラ向くと。気が抜けないし。最近だと清宮くんがいつもこのような中で普通にやってるのがすごいと思う。今日ホームラン打ったと聞いたし、こういう状況の中で高卒1年目から普通に結果を出す。すごいと思うし、尊敬しかない。羨ましいです」
「自分の目の前で起こっていることに対して、ただ過ごすだけではいけないと思っている。2000本を打つまでになかなか結果が出なかった気持ちだとか、チームのため、ファンの為に打ちたいと思ってやってきたこの気持ちは大事にしたい。そして、現状の数字(成績)は満足できるものではない。自分の中でいい勢いに変えて、チームに貢献できる選手になりたい」
「基本的に全打席ヒットを打ちたいと思うことだと思う。プロ野球は3割打てばいい打者という評価だけど、どんな状況でも1打席に変わりはない。その1打席を大事にする。全打席打つという気持ちやって、トータルでどんな結果が出るのかと考えている。それは大事にしてきました」
「ヒットを打った喜びは1本目から2000本まで全部嬉しい。でも、プロ1本目と、今日の2000本目は一生忘れないと思う。年数重ねると若い頃は良かったなと思う時があります。自分の中で色んな知識が入ったり経験を重ねたりする中で、打席に入るのが怖くなった時もあった。特にこの2000本を打つまでに、早く打ちたい気持ちと、打てなかった時の周りの方の反応に気持ちが揺さぶられたことがあった。これからもファンの皆さんをがっかりさせないような期待に応えられる選手になりたいと改めて思いました」
「よく、こういう記録を達成した方からは『野球を裏切らずにやって来た』という言葉を聞きます。でも、僕は何度も野球を裏切ったし、もうやってられるか、もうやめると何回も思いました。でも、そういう時に限って、野球をやめさせてくれない出来事が常にありました。野球が僕を離してくれなかったと思いますね」
「結果で喜んでもらえるのが一番喜ばしい事。でも、結果が出なくても喜んでもらえる選手になりたい。一見パッと見、途轍もなくスゴイものを持っている選手ではないと思っている。でも、チームの4番を任せてもらっているので、チームの勝利にちょっとずつ貢献し続ける選手でありたい。ま、頑張りたいですね」
「ほんとに正直なこと言わせてもらうと、2000本目と打つまでの注目度がすごく嫌な感じもあった(苦笑)。自分の気持ちの中でこれだけ注目してもらった中で野球をやれるのは幸せだと分かっているつもりでした。だけど、心の中でほんの少し、『またこんなにカメラ向けられて。やめてほしいな』と思った自分がいた。それが和らぐかと思うとホッとする部分と、これがなくなるとちょっと寂しくなるかなと両方思う。今度は試合の中でいい結果を出して、皆さんからカメラを向けられるよう頑張りたい」
2018年5月10日掲載
田尻 耕太郎(スポーツライター)