2019/10/06 (日)
選手

【祝ファーム日本一】上杉あずさのファーム日本選手権観戦記

1軍の舞台での活躍を目指す若鷹たちが、ひと足早い“日本一”の嬉しいニュースを届けてくれました。4年ぶりのファーム日本一!3年ぶりにウエスタンリーグを制したホークスは、ファーム日本選手権でイースタン初優勝のイーグルスと対戦し、6-3で勝利。見事、若鷹軍団が栄冠を手にしました。

先発は二保旭投手。大舞台の先発を任されたというよりは、ポストシーズンに向けたアピールと調整の場になる立場の10年目右腕は試合前、少し複雑そうな表情を浮かべていました。それもそのはず。時を同じくして、福岡ではパーソルCSパのファーストステージが開幕しました。「CSで投げられるのが一番だったけど、そこに選ばれなかった。今できる限りのことをやって結果を出すだけです」悔しさも抱きながらの登板となりましたが、5回を投げて2安打無四死球無失点。テンポの良い素晴らしいピッチングで試合を作ると、大会MVPに輝きました。試合後のヒーローインタビューに呼ばれた時には「オレ、若手じゃないっすよ」と照れながらも笑顔を見せました。


二保投手は初回、先頭打者に安打を許すも得意の牽制でアウトを奪うと、3回まで毎回3人で抑えました。4回には味方失策から一死1.2塁のピンチを招くも、中軸をしっかり打ち取りました。変化球で的を絞らせない持ち味を発揮しながらも、いつも以上に真っすぐを使えたことで、1軍で感じた課題も克服できました。「いつももう1イニングというところで相手打線につかまっていた」ところを、4回のピンチを凌いだ後の5回を三者凡退。収穫を感じていました。

「5回は勝ちを意識してあえて自分にプレッシャーをかけてマウンドに上がりました」結果が全ての一発勝負でしっかり結果を出せたことは、自信にも繋がりました。ここまで感じてきた悔しさとここで得た自信を胸に、次こそは1軍の戦力としてパワーアップした姿を見せてほしいです。


そして、優秀選手に選ばれたのは栗原陵矢選手と川瀬晃選手!

4番に座った栗原選手は、先頭で回ってきた全3打席で安打を放つなど全4打席で出塁し、チャンスメイク。存在感が光りましたが、この栄誉にはあまり関心を示しませんでした。今季は1軍でも自己最多の32試合に出場するなど多くの時間を1軍で過ごし、プロ野球選手としての強い自覚も芽生えました。そのため、結果を出せたことに一定の喜びを感じながらも、CSを戦っている1軍の舞台に居られない不甲斐ない気持ちも伝わってきました。

川瀬選手はエンドラン、スクイズを大事な場面でしっかり決めるチーム打撃で大きな役割を果たしました。1軍ではほろ苦い経験がありました。「自分は小技を失敗してはいけない選手なのに…」求められるプレーができる選手になるために、人一倍練習してきました。そして、この大舞台でその成果を発揮することができたのです。小川2軍監督も、川瀬選手の成長に賛辞を惜しみませんでした。2軍の目的である“1軍の戦力の準備と育成”が実を結んできたことが、ファーム日本選手権を制することが出来た最大の要因かもしれません。

さて、MVP、優秀選手に選ばれたのは以上の選手たちでしたが、最後にもう一人、私が思う “陰のMVP”をご紹介させて下さい。それは、九鬼隆平捕手です。

投手陣を好リードし、勝利に導いた九鬼捕手。普段対戦していないチームとの一発勝負ということで、「簡単に行きすぎないように。でも、逃げずに攻めるところはしっかり攻めていく」。そう話していた通り、まずは先発の二保投手の好投をアシスト。一方で、2番手の笠谷投手は本調子ではなく、四球と安打でピンチを迎えてしまいました。このまま崩れてしまいかねない場面でも落ち着いてリードし、最少失点で切り抜けました。粘り強いリードで最後までマスクを被り、“優勝捕手”となりました。

持ち味の打撃では快音を響かせることが出来ませんでしたが、得点に繋がる貴重な犠打を決めました。自身の役割を一発勝負で果たせたことも大きな収穫です。

ちなみに、第1打席では高校時代から仲の良いイーグルス先発の藤平尚真投手と対戦しました。共に代表入りした高校日本代表ではバッテリーを組んだ仲でもありますが、対戦するのは初めてということで試合前から意気込んでいました。結果はレフトフライで藤平投手に軍配。「リベンジは1軍で」と悔しさと共に前を向きました。常に虎視眈々と1軍のチャンスを狙いながら、目の前の試合で結果を残そうと鼻息の荒い九鬼捕手。今後の期待も込めて“陰のMVP”とさせて頂きました。


一発勝負の大事な一戦でつかみ取った価値ある日本一。選手たちはその喜びを感じながらも、 “あくまでも2軍”での結果ということで手放しに喜ぶことはありませんでした。ここで満足しない、常勝軍団を見て育っている若鷹軍団の目指すところはもっともっと高いところに…。嬉しいけど悔しい、貴重な経験をした若鷹たちの今後の活躍に是非ご注目ください。

上杉あずさ(@azumacks)タレント

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