ホークスひと筋で15年間プレーしてきた髙谷裕亮選手が、11月1日(月)にPayPayドームで引退会見を行いました。髙谷選手は前日10月31日(日)に今季限りでの現役引退を表明していました。
髙谷選手は栃木県出身で現在39歳。2006年大学・社会人ほかドラフト3巡目で白鷗大学から入団しました。堅実な守備や強肩、そして打撃でもパンチ力のあるところを見せて、1年目から一軍デビューを果たし、2年目の2008年には自己最多の215打席にも立ちました。
会見の中でも話していましたが、2009年には開幕スタメンを勝ちとり、開幕投手の和田毅投手を好リードして完封勝利にも導きました。ベテランとなってからは「抑え捕手」の役割を担うことが多く、昨年までの4年連続日本一のうち2017年~2019年の3年間は髙谷選手が「胴上げ捕手」を務めました。
通算成績は643試合出場、打率.194、10本塁打、101打点を残しました。
以下、会見の主な一問一答です。
「わたくし髙谷裕亮は今シーズンを持ちまして、15年間の現役生活に終止符を打ち、引退する決断をしたので、ここにご報告いたします。この場を用意してくださった球団、そして応援してくださったファンの皆様、支えてくれた家族に感謝しています。ありがとうございました」
――今の心境は?
「考える時間をいただけたので、意外とすっきりしています」
――決断はいつ頃?
「じつはですね、その(来季選手契約しない旨の)連絡をいただいたときに、来季できるかなとの不安はあった。なので、引退するのは頭の中にありました。ただ急だったので動揺もあって、少し時間をもらった次第ではあります。そして、遠征先から帰って家族の顔を見て、しっかり話をして最終的に決めました」
――ご家族の反応は?
「僕と同様に戸惑っているというか、いきなりだったので。正直言えば、ユニフォームを着ている姿を見たいと言われた。だけど、ゆっくり話をさせてもらいました」
――周りから「まだやれる」との声も。
「そう思わないこともないです。だとしても長くはない。1、2年です。それは自分の中で正直ありました。チームにも気を遣ってもらい、アップも全体でできなかったりする中で試合に出ていました。それでやっとこの状態です。それを考えると『時が来たのかな』と。自分ではそう思っています」
――引退を報告した周囲の反応は?
「びっくりしていましたけど、15年間、僕の中では“やらせてもらった”と思っています。周りには『お疲れ様』と言ってもらえたし、レギュラーで何年もやっていない選手と契約してくれた球団に感謝しています」
――どんなプロ野球生活でしたか?
「一言で表せば、怪我に始まって怪我に終わった、ですかね。1年目の終盤に怪我をして、そのままシーズンを終えましたし。最後は膝もそうだけど、ファウルチップで脳震盪抹消もありました。でも、その中でも、腐らず、自分のできることをやり続けた。しっかり準備をするのを忘れずにやってきたつもりです」
――そんな髙谷選手のポリシーは?
「準備することだと思います。野球選手は長くやれて15年くらい。一日はあっという間。気づいたら終わっています。トレーニングやできることは『やる』と決めたら、やって終える。それを決めていました」
――印象深い試合や出来事は?
「家で考えたんですよ。1つに絞るのは難しかったけど、3年目の開幕スタメン。和田(毅)さんと組んで、3安打完封しました。初めて開幕戦を任されて、ふわふわして、気づいたら試合の中盤、そして終盤でした。こんな独特なのかと感じた試合でした。その後も優勝の瞬間や、2015年にマジック1でスタメンだった試合もあります。挙げるとキリがないけど、1つ思い浮かぶとすればあの開幕戦です」
――思い残すことはないですか?
「はい。成績は胸を張って言える数字ではないですが、ここまでやらせてもらった。大満足です」
――感謝を告げたい人は?
「毎日、体のケアをしてくださったトレーナーとか指導してくださったコーチの皆さんもそうですが、やはり家族です。イライラして帰ってきて、あたってしまった時もあったと思います。だけど、いつもと同じように雰囲気や時間を作ってくれました。両親もそう。その雰囲気を作ってくれた家族に感謝しているし、頭が上がらないです」
――今後について
「来季からは2軍でバッテリーコーチをやらせてもらうことになっています」
――それに向けては?
「考えているけど、その時にいろいろお話させてもらえればと思います」
――後輩たちへメッセージを
「とにかく、時間を無駄にしないでもらいたい。きついな、今日はいいかなと思う日もあります。でも、時間は限られている。無駄にしないでやってほしい」
――特に思いを託す後輩は誰になりますか?
「難しいですね。みんなですよ。チームメイトみんなです。来年も野球をできる喜びをかみしめながら頑張ってほしい。みんなに託すと言うとおこがましいけど、みんなまた嬉しい瞬間を迎えてほしい」
――ファンの皆様へ
「15年間、本当にありがとうございました。レギュラーでもない僕を常に追いかけてくれて、ときに厳しい言葉もあったと思うけど、気にかけていただき感謝しています。僕に声援を捧げてくれたエネルギーを今度は若い選手たちへ向けてほしいです。それが彼らの力になる。そうなれば僕も嬉しい。本当にありがとうございました」$