信じられない――ヤフードームに一瞬の静寂があった。8月15日（水）のマリーンズ戦の2回、柳田悠岐選手の2号2点先制本塁打は驚きの弾道。流し打ちの打球がレフトスタンドに突き刺さると、次の瞬間には、ヤフードームの空間は割れんばかりの大歓声に包まれました。

これぞホークスの未来を担う長距離砲の打球です。「芯に当たりました。でも、こすっていましたね」。それでも、両翼100ｍ、外野フェンスの高さは5.84ｍの日本一の広さを誇るヤフードームで逆方向へ本塁打する選手は、球界でもなかなか見当たりません。

そのパワーに惚れ込んだのが、小久保裕紀選手です。「去年、練習を見ただけですぐに感じた。飛ばす力を持っている。自分や信彦（松中選手）の後の、日本人としてクリーンアップを打てる存在。楽しみな選手。伸びてほしい」と話していました。その小久保選手が前日に突然の引退発表。柳田選手も「残念な気持ちしかない」と視線を落としますが、「ホームランで恩返しをしたい」と力強く言います。先日は「フリーバッティングでは全部ホームランを打つつもりでフルスイングしろ」とアドバイスをもらったそうです。

「考えすぎて、練習でもセンター返しをしなくてはなどと考えていた。もう一度思いっきり振ることを思い出しました」

練習では引っ張り専門では調子が狂うと、センターからレフト方向へ叩き込むイメージで打っています。それが試合でも実践できたことでより一層の自信が深まりました。

お立ち台では「もっともっとでっかいホームランを打ちたい。ファンの皆さんも球場に足を運んで、自分のホームランを見に来てください」と胸を張って堂々と宣言しました。

試合は細川亨選手にも今季1号弾が飛び出して、打線は7得点をマーク。先発した攝津正投手は6回無失点の好投でパ・リーグ最多勝争いのトップに並ぶ11勝目を挙げ、リリーフ陣も好投して無失点リレー。7対0と快勝しました。